本日公開! 全て解き放ち、感じるままに体験したい73分! クリストファー・ドイルの映像、 浅野忠信が挑発的に魅せる問題作、『壊れた心』。

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    いまや世界が注目する映画大国となったフィリピンから、映画界を挑発する鮮烈な作品『壊れた心』が届きました。

    撮影の指揮をとったのは『恋する惑星』などウォン・カーウェイ監督作品で名を馳せたクリストファー・ドイル。手持ちカメラで鮮やかな光を巧みに捉える手法は健在で、エモーショナルな本作の大きな要となっています。主役に抜擢された浅野忠信が演じるのは「殺し屋」。殺し屋がマフィアの女と逃避行する破滅的な展開は、アメリカン・ニューシネマ『俺たちに明日はない』のボニーとクライドを思い起こさせるベーシックなものですが、本作では既存の映画で体験したことのない新たな感覚が観客を飲み込みます。

    台本やセリフが一切なく、流れるのは言葉を超越した音楽とドキュメンタリーのような美しい映像。壊れた世界とそこで生きる男の物語を感覚的に訴えかけてくるのです。「映画」でありながら「詩」であり「音楽」でもある新しいアート作品といえるでしょう。監督はフィリピン生まれの詩人、作曲家でもあるケヴィン・デ・ラ・クルス。フィリピン映画の「第3黄金時代」の先導者として各方面から注目を集めています。

    私たちはどんな時代にも、逃避行に心惹かれます。安定した毎日の中で、何かから逃げ出したい衝動にかられる時はありませんか? あなたの中にあるリミッターを全て解き放ち、感じるままに体験したい73分。エンドロールで流れる「この壊れた心を 愛しいあなたの壊れた手で 大切に扱っておくれ」というフレーズを、あなたはどう聞き、どう感じるのでしょう。本作を通して、自分の中の「壊れた心」に気づかされるかもしれません。(太田美由紀)

    『壊れた心』

    原題/RUINED HEART(PUSONG WAZAK)
    監督/脚本/プロデューサー/作曲/音楽 ケヴィン・デ・ラ・クルス 
    出演/浅野忠信、ナタリア・アセベド、エレナ・カザン、アンドレ・プエルトラノ、ケヴィン・ヴィム・ナデラほか
    2016年フィリピン・ドイツ合作/73 分 
    日本配給:Tokyo New Cinema
    ユーロスペース、ユーロライブほかにて1月7日より公開

    http://tokyonewcinema.com/works/ruined-heart/