海賊を祖先にもつおじいちゃんが、バラバラになりかけた家族に教えてくれたこと。

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    写真上:アビとダグと3人の子どもたちは、ゴーディおじいちゃん(左端)の誕生日を祝うためにスコットランドへやって来ました。

    相手が悪いわけじゃないのに、相手だけが悪いわけじゃないのに、ことあるごとにパートナーと言い争いになってしまう――多くの人が経験する状況に変化をもたらしてくれるのは、自然いっぱいの場所への旅行だったり、家族や友人など当事者ではない人の存在だったりします。そんなことをテーマにしたこの『海賊じいちゃんの贈りもの』も、2人の絆を修復してくれるきっかけをもたらしてくれそうです。

    3人の子をもつアビー(ロザムンド・パイク)とダグ(デヴィッド・テナント)は、すれ違いが続いて現在は別居中。ダグの父ゴーディ(ビリー・コノリー)の75歳の誕生日を祝うため、一家5人でロンドンからスコットランドへと向かう道中も、アビーとダグはケンカばかりです。しっかり者の長女ロッティはそんな両親にうんざりしていて、どちらが嘘をついたか後でわかるようにメモ魔になっています。弟のロッキーと妹のジェスも両親の不仲に不満が募るいっぽう。長いドライブを経てダグの兄夫婦と一緒に暮らすゴーディの家に到着し、マクラウド家のみんなは再会を喜びますが、相変わらず大人たちは言い争いばかり。唯一、3人の子どもたちを楽しませてくれるのは、自由で人生を達観したゴーディじいちゃんの存在でした。

    相手の存在が当たり前すぎて近すぎて、有り難みを感じられなくなってしまっているのは、アビーとダグだけではありません。ダグと兄も、兄夫婦もそう。そんな彼らに気づきを与えてくれるのは、ゴーディじいちゃんと3人の子どもたちなのですが、その過程はお楽しみのため伏せておきます。奇想天外で、クスっとさせてくれるユーモアがちりばめられたヒューマンドラマ。物語が進むにつれ、(誰もがそうですが)完璧じゃないマクラウド家の面々に愛しさを感じることでしょう。そして、映画のもうひとつの主役ともいえるのが、スコットランドの大自然。こんな壮大な景色の中をクルマで走りたい、こんなに美しい湖畔でのんびり過ごしたいと思わせてくれます。(Pen編集部)

    病気を患っているゴーディを心配させまいと、アビーとダグは仲睦まじいふりをします。

    海賊の末裔で、世間体やら常識に囚われない自由なゴーディに、ロッキー(左)ら子どもたちは惹かれていきます。

    『海賊じいちゃんの贈りもの』

    監督/ガイ・ジェンキン、アンディ・ハミルトン
    出演/ロザムンド・パイク、デヴィッド・テナント、ビリー・コノリーほか
    2014年 イギリス映画 1時間35分
    配給/エスパース・サロウ
    10月10日より、角川シネマ新宿ほかにて公開。
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