スペシャルイベントで、国産葉たばこの収穫とプレミアムなバーベキュー料理を体験。

  • 文:西山亨

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去る7月20日と21日に、茨城県で行われたJTのイベント『Starlight Tour produced by DINING OUT』。農園で国産葉たばこの収穫を体験した後は、セブンスターが最も美味しく味わうことができるというバーベキューのコース料理が振る舞われました。

今年から本格的に稼働している「JTファーム」があるのは、牛久大仏や霞ケ浦からほど近い茨城県阿見町。のどかな田園風景に囲まれたこの農園では、JT(日本たばこ産業)が東京ドーム約1.4倍の広さを誇る畑で葉たばこを中心に栽培しています。今回、ここで開催されたのが『Starlight Tour produced by DINING OUT』と名付けられたイベントです。

草丈が1m以上に育ったたばこの葉の収穫を体験する参加者。

今年で発売50周年を迎えたセブンスターに使われている、国産葉たばこを実際に収穫するというもの。また、国産や外国産、種類の違いを理解したうえで、乾燥し細かく刻んだ葉たばこをブレンドし、自分好みのセブンスターをつくって試喫するという内容です。その後、同県石岡市のキャンプ場へ移動して、セブンスターの味わいにマッチしたバーベキュー料理を堪能します。

『DINING OUT』のプロデュースによって、キャンプ場でバーベキュー料理が提供されました。

実は、このイベントをプロデュースしたのは、国内外のトップシェフを招いて、全国各地で数日間だけのキャンプ場を開催する『DINING OUT』。今回は、東京・北青山の『THE BURN』で総料理長を務める米澤文雄氏がシェフとして参加。『DINING OUT』のホスト役として知られるコラムニストの中村孝則氏が案内役を務めました。

『THE BURN』の総料理長、米澤文雄氏自ら腕を振るいます。

過去7回の『DINING OUT』でホストを務めたコラムニストの中村孝則氏。

さて当日の昼過ぎに、事前のイベント告知に応募・当選されたイベント参加者を乗せたバスが東京から到着。さっそく、収穫した葉たばこを保管する倉庫の中で、葉たばこに関する簡単なレクチャーが始まりました。たばこはナス科の植物で、最も多く栽培されているのはニコチアナ・タバカムという学名のもの。花が咲く頃に草丈は120cm以上になり、葉っぱ一枚は大きいものになると縦70cm、横30cmくらいまで成長します。

参加者の皆さんが、東京よりバスで「JTファーム」に到着しました。

日本では北は青森から南は沖縄までの地域で耕作が行われていて、主に黄色種とバーレー種と呼ばれる品種が栽培されています。黄色種は甘みのある香りや吸ったときに感じる甘みが特徴で、バーレー種はチョコレートのような香りがして、吸うと煙の軽快さが感じられます。種を蒔いてから収穫、乾燥、梱包して出荷するまで約10カ月。茨城県の場合は、2月中旬に種を蒔いて苗をつくり、5月上旬から8月まで収穫を続けます。その後は、乾燥機を使って5~7日ほど乾燥させると出荷できる状態になります。このような葉たばこに関する基礎知識をしっかり習得した上で、畑へ向かいました。

倉庫内ではたばこに関する簡単な講義が行われました。

国産と外国産の葉たばこをブレンドしてセブンスターづくりに挑戦。

一面に広がる畑では、想像していたよりも大きく育った葉たばこが収穫を待つばかり。植物としてのたばこを見る機会は滅多にないため、改めて製品のたばこが農作物からできていることを実感します。JTのスタッフから葉のもぎ取り方を教えてもらった参加者は、4~5人のグループに分かれて、畑の畝に入っていきます。今回は葉たばこは、上から数えて8枚を残して、その下に生えている葉はすべて茎の根本から取ってしまいます。この日は7月とはいえ、本格的な暑さを迎える前だったため作業は順調。30~40分の間で、たくさんの葉たばこを収穫することができました。

「JTファーム」のスタッフから注意事項を聞き、葉たばこの収穫がスタート。

「JTファーム」で栽培されてる葉たばこは黄色種。8月まで収穫が続きます。

葉たばこは根元から取り除きます。小さなわき芽があればそれも抜いてしまいます。

比較的簡単に収穫できるため、短時間でもこれだけの葉が集まりました。

倉庫に戻ってきた後は、セブンスターの手巻きに挑戦します。いくつかの種類の刻み(たばこの葉を乾燥させて細かく刻んだもの)が用意されていて、これらをブレンドしていきます。外国産黄色種を2つまみ、国産黄色種を1つまみ、国産バーレー種を半つまみ取り、ほどよく混ぜ合わせます。次に手巻き機の端にフィルター付きの筒をセットし、ブレンドした刻みを入れて、レバーを回すと刻みが充填。最後は飛び出た刻みをハサミでカットすればオリジナルセブンスターの完成です。まずは自分でつくったものを試喫し、さらに市販のセブンスターとの味の違いも比べました。

説明を受けた後、セブンスターの手巻き体験に挑戦します。

外国産黄色種と国産黄色種、国産バーレー種の3種類の刻みをブレンドします。

手巻き機のレバーを回すと刻みが充填されていきます。

端から飛び出た刻みをハサミでカットします。

次に自分好みのセブンスターをブレンドする前に、改めて葉たばこに関する説明を受けます。葉たばこはもともと緑ですが、乾燥させる段階で植物が持っている酵素が活発化し、旨味や甘みといった成分をつくり出し、黄色へ変色していきます。黄色種は香りや味のキーとなる品種で、香りや味がもっともいいところで乾燥をストップ。バーレー種は黄色種より葉の中の酵素反応をさらに進めさせて、色は茶色へ変化。内部の組織が小さくなっていくため、中身があまり詰まっておらず、そのためたばこを吸ったときに煙がふわっと広がります。また、長時間乾燥させることで喉にガツンと来るという特徴も持ち合わせています。

国産と外国産の黄色種とバーレー種の違いについて、JTのスタッフから話を聞きます。

会場では乾燥させた国産の黄色種とバーレー種のほか、外国産も展示。さらにそれぞれの試喫用のたばこも用意され、参加者の皆さんに味わいの違いを確認してもらいます。甘みのある香りや味わいが特徴の黄色種に対して、味が濃く喉にグッとくる感じが特徴のバーレー種。これらの違いを理解して、最後は自分の好みに応じて黄色種とバーレー種をブレンドして、オリジナルのセブンスターづくりに挑戦しました。手巻き機でたばこをつくった後は、フィルター部分にセブンスターの香料を注入してもらって完成。参加者の皆さんが思い思いのセブンスターをつくって味わっていた姿が印象的でした。

乾燥させて、黄色やオレンジ色に変色した国産と外国産の黄色種。

国産と外国産の黄色種とバーレー種の違いを吸い比べます。

セブンスターがもっとも美味しく味わえるバーベキュー料理に舌鼓。

葉たばこの収穫とセブンスターの試喫を存分に体験した後は、『八郷温泉 ゆりの郷』での休憩を挟み、野外レストランの会場となる石岡市の『つくばねオートキャンプ場』へ向かいます。ここは筑波山の麓、標高300m地点に位置する人気のキャンプ場。この日は一日中霧がかかった天候で、幻想的な雰囲気に包まれていました。

霧が立ち込めた幻想的な雰囲気の中、ディナーがスタートしました。

今回のディナーのコンセプトは、「たばこを吸いながら食事が楽しめる」こと。セブンスターを最も美味しく味わうことのできる料理が提供されるとあって、参加者の期待もぐんと高まります。敷地内には薪で火を熾したスモーキングエリアも用意され、アウトドアらしい演出にも抜かりがありません。そして、世界的に活躍しているDJ Cartoon氏による音楽も入り、いつもとは違うカジュアルな雰囲気の野外レストランとなりました。

海外での経験も豊富なDJ Cartoon氏が音楽を担当。

そして、シェフとして登場したのが米澤文雄氏です。米澤氏は、22歳で渡米し、ニューヨークの三ツ星『ジャン・ジョルジュ』で日本人初のスーシェフまで上り詰めた料理人。帰国後はいくつかのレストランを経て、2013年にオープンした『ジャン・ジョルジュ トウキョウ』のシェフに就任しました。2018年に「熾す、焦がす料理店」をコンセプトにした『THE BURN』をプロデュースして総料理長に。人と環境に優しい食材にこだわったニューアメリカンな料理を得意としています。

炭火焼き料理を得意とする『THE BURN』の米澤文雄氏。

案内人である中村氏の挨拶と乾杯で、いよいよプレミアムなダイニングのスタートです。今回のディナーの特徴のひとつは、料理に応じてお酒がペアリングされること。乾杯と前菜用に登場したのは、スウェーデン発「オムニポロ レオン」というビール。シトラスのフレーバーが感じられ、ドライでキレのある飲みやすい味わいが特徴です。

スウェーデンのビール「オムニポロ レオン」で乾杯。

前菜の1品目は、小さなショットグラスで出てきた「メロンとレモングラスの冷たいガスパチョ」。メロンとレモングラスの甘くて爽やかな味わいがベースで、清涼感とともにガスパチョならではののど越しを楽しみます。後味にピリリと感じる辛みがアクセントに添えられていました。

さっぱりとした味わいの「メロンとレモングラスの冷たいガスパチョ」。

2品目は「ババガヌッシュ、フムス、焼きピーマン 3種のピュレ」。焼きナスを使ったババガヌッシュと、ひよこ豆を使ったフムス、焼きピーマンのピュレを薪と炭で焼いたバゲットに乗せていただきます。スモーキーで酸味のあるババガヌッシュ、やや苦みのあるフムス、ピリリとした辛みのあるピュレのバランスが絶妙でした。

「ババガヌッシュ、フムス、焼きピーマン 3種のピュレ」は、炭火で焼いたバケットと相性抜群。

料理とお酒のペアリングを楽しむ参加者の皆さん。

3品目は「10種類の野菜のタブレ アンディーブのサラダ仕立て」です。細かく刻んだ野菜のほかに、穀物のブルグルも入っていて、これらをアンディーブの上に乗せます。シャキシャキした食感とさわやかな味わいがマッチ。こちらに合わせるのは地元茨城のクラフトビール「常陸野ネストビール セゾン・ドゥ・ジャポン」です。米麹の甘みと酸味、アクセントに使った柚子の風味が野菜料理にぴったりでした。

アンディーブに乗せて食べる「10種類の野菜のタブレ アンディーブのサラダ仕立て」

全10品のコース料理を大自然の中で堪能します。

前菜の4品目は『THE BURN』の人気メニューである「久松農園のロースト人参、チポトレ薫るロメスコソース」。炭火で焼いた地元の農園によるニンジンは柔らくて甘みがたっぷり。ロメスコソースはチポトレのピリ辛が効いていてニンジンとの相性も抜群です。合わせるお酒は、つくば山麓で栽培されている福来みかんとオレンジ風味のアロマホップで醸造した「常陸野ネストビール だいだいエール」。柑橘のフルーティな香りと麦の旨味が印象的でした。

参加者の目の前でテンポよく料理がつくられていく工程も見どころのひとつ。

「久松農園のロースト人参、チポトレ薫るロメスコソース」は甘さと旨味が凝縮。

最後の前菜となる5品目は「アボカドの炭火焼き、ライムとコリアンダーのチミチュリソース」です。アボカドはローストしたとは思えないほど柔らかく、ニンニクが効いた酸味としょっぱさのあるソースで食べると美味しさが倍増。お酒にはナチュール系の白ワイン「ブロック・セラーズ ラブ・ホワイト」が登場。トロピカルフルーツや柑橘系のフレーバーが感じられ、バランスの取れた味わいがアボカドの淡白な味を引き立ててくれます。

外はパリッと中は柔らかい「アボカドの炭火焼き、ライムとコリアンダーのチミチュリソース」。

セブンスターを味わいながら料理とお酒を堪能できる貴重な機会になりました。

熟成肉の炭火焼きによるナッツ香とたばこの煙とのマリアージュ

そして、ここからメイン料理が3品続きます。まずは、「ラムのケバブ」。スパイスをふんだんに使ったシンプルなケバブですが、木の枝に刺されているので豪快に頬張るのが正解。粗く刻まれたラムのミンチが食べ応えを感じさせます。このワイルドな味わいにペアリングさせたのが、「常陸野ネストビール エキストラハイ」。通常のビールより多めの麦芽とホップを使用したアルコール度数8%のビールで、長期熟成によって醸し出されるコクのある深い味わいが美味です。

ラム肉を炭火で力強く焼き上げていきます。

枝を持って豪快に食べたい、スパイシーな「ラムのケバブ」。

メインの2品目は「ブリスケ 自家製マスタードソース」。10時間低温調理をして炭火で仕上げたジューシーな肉と、キャロットラペやオニオンをハンバーガースタイルで食べます。ソースはオリジナルのバーベキューソースで、たばこの煙との相性も抜群。肉料理に合わせる赤ワインとして登場したのは、NYブルックリンでつくられている「ブルックリン・ワイナリー ノース・フォーク・ブレンド」。スモーキーな香りやエレガントな味わいが特徴で、炭火焼きの肉料理に絶妙にマッチします。

「ブリスケ 自家製マスタードソース」は低温調理した牛バラ肉を炭火でフィニッシュ。

見た目は小振りなハンバーガーでも食べ応えは十分。

そして、メインの3品目は『THE BURN』のシグネチャーである「熟成肉の炭火焼き」。新潟のあがの姫牛という、黒毛和牛とホルスタインを掛け合わせた牛を約200日間熟成し、炭火で豪快に焼きました。200日も熟成すると水分が抜け、ナッツのような香りやうま味が発生。この熟成香と肉の脂がセブンスターとの最高のマリアージュを実現します。付け合わせに出されたのは、トウモロコシにヨーグルトやサワークリーム、スモークパブリカ、チーズを乗せたもの。南米やアメリカのストリートフードとしてよく食べられるスタイルで提供されました。

200日間熟成させた新潟県のあがの姫牛はほどよい脂が特徴。

ナッツのような熟成香がたばこの煙と合う「熟成肉の炭火焼き」。

付け合わせには、ジュピターという焼きトウモロコシに合う品種を使用。

デザートは「チョコブラウニーと生クリーム、キャラメルポップコーン」。濃厚なチョコレートにあっさりした生クリームがバランスの取れた甘さとなり、食感が楽しいポップコーンが食べ応えのあるコース料理をさっぱりと締めてくれました。

ポップコーンがアクセントになった「チョコブラウニーと生クリーム、キャラメルポップコーン」。

さて、昼から続いた『Starlight Tour produced by DINING OUT』もお開きの時間になりました。閉幕にあたって米澤氏からは「幻想的で特別なシチュエーションで食事を楽しんでもらえたのかと思います。野外でバーベキューをしながらたばこを吸うとか、シチュエーションが違うとかなり楽しいんだなと改めて思いました」とのコメントをいただきました。

特別なシチュエーションが印象的だったという米澤氏。

中村氏は「たばこというのはダイニングの中の一環なのだなと思っていて、今日は皆さんもリアルにそういう体験をしていただけたんじゃないでしょうか。料理、音楽、そしてこの空気感とともに、たばこというのは豊かな食文化のひとつなのではないかなと感じました」と挨拶。アウトドアで火を熾して、音楽を聴きながら、そしてセブンスターの煙も楽しみながらというダイニングは、滅多に体験できないもの。また、日中行われた国産葉の収穫体験や手巻き体験などにより、生産者によって大事に育てられた国産葉だからこそセブンスターの旨さにつながっている事がわかりました。参加者の皆さんの満足そうな表情がとても印象的なイベントでした。

ダイニングにおけるたばこの果たす役割を認識できたという中村氏。

『Starlight Tour produced by DINING OUT』は、日が沈んで夜を迎えた頃に終了しました。