60年代若者文化を席巻した「劇画ブーム」をけん引した伝説のクリエイター・平田弘史の、本格的展覧会を「刮目して見よ!」

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    信長絵巻2 桶狭間出陣/1978年ⓒ平田弘史

    60年代のマンガ業界のみならず、日本の若者文化全体を席巻した「劇画」。劇画がスタートしたのは50年代後半の貸本マンガでした。それまでのマンガよりも、カメラワークを駆使した大胆なコマ割りや、リアリティのあるキャラクターの心理描写を組み込んだ新ジャンル・劇画は、青年層読者に支持されて一大ブームを築きます。

    その怒涛の劇画界で気を吐いていたのが、一晩で描き上げた処女作「愛憎必殺剣」でデビューし、妥協を許さない創作姿勢、作品の痛烈な思想が、多くの後進に影響を与えた伝説の時代劇画家・平田弘史です。理不尽な格差社会への怒りと悲しみ、そして抵抗のスピリットは、もちろん今でも健在。また大友克洋といった海外でも高い評価を受けているクリエイターたちにも引き継がれています。

    そんな平田の、生誕80年と画業60年を記念した初の本格的展覧会『開催中の展覧会超絶入魂!時代劇画の神 平田弘史に刮目せよ!』が弥生美術館で開催されています。

    会場では50年代の貸本漫画時代の初期作品や習作などから、劇画ブームを担った有名作までの原画、初公開原画を含む約300点を展示(期間中、一部作品の展示替えも行われます)。徹底した時代考証と、鬼気迫る画力で時代を斬り開いてきた平田劇画の真髄が、一気に俯瞰できる催しです。発禁処分となった壮絶な「血だるま剣法」といった作品だけでなく、新作を描く前に専用の机の設計図を引くところから始まる(!)数々の超絶平田伝説が、この展覧会の端ばしから感じられるでしょう。

    近年、日本のコミックが海外で映画化されることは珍しくなくなりました。公開を控えている劇場用作品のスカーレット・ヨハンソン主演『攻殻機動隊』だけではなく、時代劇では『子連れ狼』、SFでは『AKIRA』の制作も発表されています。そうした海外での人気作の源流をたどっていくと必ずぶち当たる「劇画」は、日本のエンタテインメント文化にどんな影響を与え、そしてこれから、どんな進化を遂げていくのでしょうか。

    その答えが、この伝説の劇画作家の展覧会にあるはずです。(幕田けいた)

    「弓道士魂」第2回原画(部分)/『週刊少年キング』1969年12月1日号ⓒ平田弘史

    「薩摩義士伝」第20回扉絵原画/『増刊ヤングコミック』1979年2月20日号ⓒ平田弘史

    超絶入魂!時代劇画の神 平田弘史に刮目せよ!


    開催期間:2017年1月3日(火)~3月26日(日)
    開催場所:弥生美術館
    東京都文京区弥生2-4-3
    開催時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
    休館日:月曜日

    ※ただし3/20(月祝)開館、翌3/21(火)休館
    入場料:一般¥900円/大・高生¥800/中・小生¥400(竹久夢二美術館もご覧いただけます)
    ※ 団体20名様以上、100円割引になります。

    http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html


    期間中にさまざまなイベント在り。

    〇企画展担当学芸員によるギャラリートーク

    2/12(日)・3/19(日)
    いずれも14:00~(約45分)申込不要 無料(要入館料) ※平田弘史先生はご参加されませんので、ご注意ください。

    〇大友克洋×寺田克也 スペシャルトークショウ

    平田ファンのお二人に、平田作品の魅力について楽しくお話していただきます。

    3/4(土)17:30~(約1時間) 事前申込・有料(2000円/入館料含む)・2/12(日)13:00より、申込専用メールアドレスにて申込受付開始いたします。先着順。申込専用アドレスは、当日13:00に告知いたします。


    〇平田弘史先生サイン会
    3/11(土)午後より 先着順 ※詳細は決まり次第HPにて告知。