蓮沼執太をはじめとする世界のアーティストが、音作品で「銀座ソニーパーク」をキュレーション

  • 文:Pen編集部

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蓮沼執太(はすぬま・しゅうた)●1983年、東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織して国内外でのコンサート公演をはじめ、映画、演劇、ダンス、CM 楽曲、音楽プロデュースなどを行う。第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。

「銀座ソニーパーク」では、音楽家の蓮沼執太をはじめとした世界のアーティストたちの視点を介し、この時代の空気感を表現する、世界各地の環境音を素材として制作したバックグラウンドサウンド「『サイレンスパーク』 curated by Shuta Hasunuma」を再開している。

サイレンスパークは、海外を訪れることが難しい時代に世界各地から銀座の街に集められた音作品を通し、遠い国の未知なる様子を体験できる試みだ。昨年秋に開催し好評だった前回に続き、蓮沼の他、 今回は新たにフランスの音楽家フェリシア・アトキンソンと、フィリピンを中心に世界で活躍するアーティストのマリカ・コンスタンティーノが参加している。ある作曲家がかつて住んでいた森に流れる川の音や動物たちの声、フランスの雨とピアノの音色、フィリピンで道すがら聞こえてくる音など、各国の自然や街中から採集した音で制作したバックグラウンドサウンドを園内にインストール。銀座ソニーパークと蓮沼の新たな試みとしては、地上フロアでもバックグラウンドサウンドを公開した点だ。朝、昼、夜と時間によって表情を変える銀座にあふれる音を捉え直し、銀座の音と環境音とを組み合わせることで、いままでにない音作品を創造する。それは、銀座の街の喧騒と世界の環境音が織りなす、その瞬間にしか体験できないものだ。

フェリシア・アトキンソン●フランスの音楽家。2015年に『A Readymade Ceremony』を、16年にはジェフリ ー・キャントゥ=レデスマとの共作で『Comme Un Seul Narcisse』をリリースした。最新のアルバムに20年の『Everything Evaporate』がある。

マリカ・コンスタンティーノ●フィリピン内外の主要な展覧会に参加するアーティスト。キュレーターおよびリサーチャーとしても活動。2018 年から19 年には、アジアン・カルチュラル・カウンシルのニューヨーク・フェローシップに選出され、20年2月には、西ビサヤ地方に知識と創作活動を共有 するためのアートスペースKANTINAを創立。

また、よりクリアにサウンドを楽しみたい人に向け、自身のヘッドホンで作品を聴くことができるプログラムを実施。園内スピーカーとは違う没入感に浸ることができる。特設サイトでは、蓮沼の作品の一部を聴くことも可能だ。

蓮沼からは次のコメントが届いている。

「2017年10月12日、ニューヨーク州ストーニーポイントの森へ行ってきました。ここは1954年からア メリカの作曲家ジョン・ケージが住んだ場所。当時ケージは友人アーティストとコミューンのように集まって暮らしており、マッシュルームの研究家としても知られる彼はここで収穫をしていました。実際にケージが住んでいた家を訪ねてきました。そのコミューンの音、キノコ狩りをしていたという森の音をレコ ーディングしました(キノコ狩りもしてきました)。ケージが日々通っていたこの森の声を聞いてみたい」

地下1階インフォメーションカウン ターに用意された席で、自身のヘッドホンやイヤホンで聴くこともできる。事前申し込み不要、費用無料、定員2〜3名。

「サイレンスパーク」 curated by Shuta Hasunuma

東京都中央区銀座 5-3-1 銀座ソニーパーク 地上フロア・B1〜B3F
開催時間:11時〜19時
https://www.ginzasonypark.jp/silencepark

※開催時間・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。