型やぶりな作品が揃った「第1回ギンザ・ショートフィルム・コンテスト」、注目の受賞作品はこれだ!

  • 文:Pen編集部

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最優秀作品賞を受賞したシビラ・パトリチア監督の『UNBROKEN』。日本の伝統技法である「金継ぎ」をテーマとした、ショートドキュメンタリーです。

伝統と革新が共存する街、銀座で新たに発足した映像コンテスト「ギンザ・ショートフィルム・コンテスト」。5月22日、銀座プレイスで第1回受賞作品の発表および授賞式が行われました。

今回のコンテストでは、年齢や国籍、プロ・アマなど条件は問わず、「型やぶり」というテーマで5分程の作品を募集。300点を超える応募作品のうち、5点が最終選考に残り、受賞となりました。授賞式では国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」代表の別所哲也さんやゲストプレゼンターとして女優の高梨臨さんらが登壇。最優秀作品賞、優秀作品賞をはじめ、5つの賞がそれぞれの監督に贈られました。

最優秀作品賞を受賞したのは、オーストリア出身のシビラ・パトリチア監督『UNBROKEN』。日本の伝統技法「金継ぎ」についてのショートドキュメンタリーで、壊れたものから新たな美を創出する文化に注目した点が「型やぶり」のテーマにふさわしいとして、高い評価を得ました。

優秀作品賞は、美容室を舞台にした『Splendor』。美容師経験をもつ野口量監督は、疲弊した盲目の主人公が美容室を訪れ、ヘアスタイルを変えて笑顔を取り戻すストーリーをミュージカル仕立てで見せています。

残る受賞作品は、審査員特別賞の勝野賢監督『Don’t Worry Be Happy』、銀座賞のシュラーゲ・トビアス監督『Like and Follow』、GILC(ギンザ インターナショナル ラグジュアリー コミッティ)賞の小田部俊彦監督『テクノロジーと伝統芸能を用いた新たな表現への挑戦―鏡花水月―NIHONBUYO』。ドキュメンタリーやアニメーションなど各作品のアプローチはさまざまで、審査員を務めた映画監督の中野祐之監督は「一般的にショートフィルムのコンテストはストーリー仕立てのものが多い傾向にあるが、今回の応募作品の表現手法は多様で、そういったところにも『型やぶり』な姿勢を感じた」とコメントしました。

来年以降も開催予定の「ギンザ・ショートフィルム・コンテスト」。今後どんな作品が銀座から発信されていくのか、期待しましょう。

※各受賞作品はこちらから見られます。

最優秀作品賞を獲得したシビラ・パトリチア監督(中央)とプロデューサーのクレメンタイン・ナットさん(中央左)。授賞式には「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」代表の別所哲也さんや女優の高梨臨さん、映画監督の中野祐之監督らが参加しました。

野口量監督による美容室を舞台にした短編ミュージカル『Splendor』は優秀作品賞を受賞。

審査員特別賞の勝野賢監督『Don’t Worry Be Happy』は、フィリピン・マニラでドラァグクイーンとして生きる青年を鮮やかに取り上げています。