老舗ステーキハウスのソーシャルディスタンスは、“セレブ蠟人形”で乗り切る!?

  • 文:鈴木希実

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NEW YORKニューヨーク

老舗ステーキハウスのソーシャルディスタンスは、“セレブ蠟人形”で乗り切る!?

文:鈴木希実

「ティファニーで朝食を」の出で立ちでテーブルにつくオードリー・ヘップバーン。食前のマティーニを楽しみながら、何をオーダーしようか思案中? photo: Noam Galai / Getty Images

昨年12月14日から禁止されていた飲食店での屋内飲食が、定員の25%以下に抑えるという条件付きで2月12日から再開となった。2カ月もの間、外食は屋外もしくはテイクアウトかデリバリーのみだったが、店内で食事ができるようになったということは状況が改善されてきた証でもあり、まだまだ寒さが厳しいニューヨークでは嬉しいニュース。2月26日には定員制限が35%まで引き上げられて、飲食店はどこも趣向を凝らして挽回を図ろうと必死だ。

そんな中でも飛び抜けて注目を浴びたのは、1887年創業のブルックリンの老舗ステーキハウス「ピーター・ルーガー」に応援に駆けつけたセレブたち。と言っても、このセレブたちは実は蝋人形。タイムズスクエアの観光スポット「マダムタッソー蝋人形館」から特別に借りた本物そっくりの蝋人形が、店内の空間を埋めていたのだ。「マッドメン」のジョン・ハムがウイスキーを片手にバーで佇んでいたり、人気トークショーホストのジミー・ファロンがテーブルでお会計を待っている姿に、思わずニヤッとさせられる。実際、ジミー・ファロンは店に立ち寄ってもうひとりの自分と食事する姿をインスタグラムで拡散し、ニューヨークの飲食業界のサポートをアピールした。

ソーシャルディスタンスを守りながら、安全で楽しい食事の時間を提供するのに、蝋人形セレブの起用は大成功を収めた。残念ながらこの企画は3月1日で終了となったのだが、パンデミックを乗り越えるための飲食店の努力はまだまだ続く。