プロレス一家の娘がレスラーに育つまで。『ファイティング・ファミリー』が反則級に面白い!

  • 文:細谷美香

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文:細谷美香

Profile : 映画ライター。コメディや青春映画から日々の生きるエネルギーをもらっている。クセが強くて愛嬌がある俳優に惹かれる傾向あり。偏愛する俳優はニコラス・ケイジです。

プロレス一家の娘がレスラーに育つまで。『ファイティング・ファミリー』が反則級に面白い!

サラヤを演じたフロレーンス・ピューは『ブラック・ウィドウ』にも出演する注目の若手女優。© 2019 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC., WWE STUDIOS FINANCE CORP. AND FILM4, A DIVISION OF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

アメリカのプロレスはよくわからないけれど、WWEという団体名くらいなら知っている……というぼんやりした知識ながらもこの映画に興味を持ったのは、「ザ・ロック様」ことドウェイン・ジョンソンがプロデュースを務めている作品だから! 本人役として出演もしている『ファイティング・ファミリー』は、WWEでスターになった女性ファイターの実話をベースにした、家族の物語でありスポ根青春物語。お下品なギャグもまぶしてあるのに爽やかな感動にも包まれる“反則級の1本”です。

イギリス北部のノーウィッチでレスリングジムを営む、ナイト一家。元プロレスラーの両親のもとで育ったザックとサラヤはプロレス命の兄妹です。ケンカをして兄が妹にプロレスの技をかけたら叱られるのが普通の家庭。でもナイト家では技のかけ方が甘い!と父親からダメ出しされるのが日常の風景です。サラヤはいつかWWEの試合に出たいという夢を抱き、兄はプロレスを愛しながらも彼女と結婚して家庭を持ちたいという思いも持っていました。そんななか、トレーナーから持ち込まれたのはWWEの入団テスト「トライアウト」へ参加するチャンス。サラヤだけが次のステージに進み、家族に説得されたサラヤはリングネームをペイジに決めて、ひとりでアメリカへと向かいます。

ギャル度の高いブロンドのレスラーたちのなかで浮きまくる、黒髪ゴスメイクのサラヤ。周囲に受け入れられないサラヤが、自分の中にある彼女たちへの偏見に気づき、本当の“自分らしさ”に辿り着く描写もあり、ひとりの若者の成長物語としての見応えも十分です。下ネタを言いまくる両親ですが、愛とエールは本物! この映画の企画の出発点は、ナイト一家を追いかけたBBCのドキュメンタリー番組を観たロック様が心動かされ、長編映画にしたい! と思ったことだったとか。本人役として出演するシーンには不仲説がささやかれたこともあるヴィン・ディーゼルのジョークなども出てきて、なかなか笑わせてくれます。

コメディ俳優、ニック・フロスト、『ゲーム・オブ・スローンズ』のレナ・ヘディが両親役に。© 2019 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC., WWE STUDIOS FINANCE CORP. AND FILM4, A DIVISION OF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

監督・脚本はドラマ『The Office』を手がけたスティーヴン・マーチャント。© 2019 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC., WWE STUDIOS FINANCE CORP. AND FILM4, A DIVISION OF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.


『ファイティングファミリー』

監督/スティーブン・マーチャント
出演/フローレンス・ピュー、ドウェイン・ジョンソンほか
2019年 映画 1時間48分 
11月29日より TOHOシネマズ日比谷ほかにて公開。
https://fighting-family.com