男が惚れるめっぽう強い韓流スター、マ・ドンソクがアームレスリングの頂点を目指す『ファイティン!』

  • 文:細谷美香

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本国韓国では今年の春に公開され、動員数100万人を超えるヒットを記録しました。©2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

「気は優しくて力持ち」という言葉が世界でいちばん似合う男、マ・ドンソク。丸腰でゾンビと戦う『新感染 ファイナル・エクスプレス』、斧を持つヤクザを素手でなぎ倒す刑事を演じた『犯罪都市』で、マ・ドンソクの虜になったという人も多いのではないしょうか。この『ファイティン!』で演じるのは、幼い頃に貧しさゆえに韓国からアメリカへと養子に出された男、マーク。クラブの用心棒として、日々孤独に働いていた彼はスポーツ・エージェントと名乗る若い男にスカウトされ、韓国に戻ってかつての夢だったアームレスリングの世界で頂点を目指します。

素晴らしい肩の筋肉を「メロン肩」と呼ぶらしいのですが、マ・ドンソクの場合はもはや「スイカ肩」かもしれません。その立派な筋肉が躍動するさまを存分に拝めるわけですから、マ・ドンソクに腕相撲をやらせようと思い付いた人は控えめに言っても天才。一体どなたですか? 菓子折りを送りたいんですけど……と思っていたところ、アイデアを出したのは本作で長編映画デビューを果たしたキム・ヨンワン監督だとか。その企画がめでたく実現して、スタローンの『オーバー・ザ・トップ』以来といえる本格的なアームレスリング映画が誕生したというわけです。

マ・ドンソクは10代で家族とともにアメリカに移住したので、英語のセリフや韓国の食文化に対する反応もきわめてナチュラル。生きているタコの刺身に顔をしかめたり、チョングッチャン(納豆鍋)をかたくなに拒んでいたのに気付けばお代わりしまくっていたりと、行動がいちいち愛くるしい。ギャップ萌えを人間の形にするとマ・ドンソクになるのか! と感動を覚えざるを得ません。韓国では「ラブリー+マ・ドンソク=マブリー」のニックネームも定着。強くてかわいいスターの真骨頂です。

もちろんこの映画の見どころは、アクションだけではありません。韓国に戻って初めて存在を知った妹とその子どもたちとの交流がほほえましく描かれ、家族のドラマがこれでもかと涙腺を刺激。日々の暮らしに追われるシングルマザーへのフェアなまなざしも優しく、マ・ドンソクが演じることで「愛を求める男」のドラマがより本物になっています。

マ・ドンソク自身、アームレスリングを題材にした映画に出演することが夢だったそう。©2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

シングルマザーを演じるのは『ハナ 奇跡の46日間』などで注目を集めたハン・イェリ。©2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

『ファイティン!』

監督:キム・ヨンワン
出演:マ・ドンソク、クォン・ユル、ハン・イェリほか
2018年 韓国 1時間48分
10月20日よりシネマート新宿ほかにて公開。

http://fightin.ayapro.ne.jp