いま最も知りたい国、「中国」。13億人以上が暮らす大国の変化を数字で読み解く。

    Share:

    中国のいまの変化を、どれだけの人が予想できたでしょうか。
    「現代の中国ほど複雑な国はない。沿岸部にアメリカやヨーロッパも顔負けのハイテク都市が出現する一方で、内陸部には1日1.9ドルの貧困ライン以下の暮らしを続ける農民がいる。『只見樹木、不見森林(木を見て森を見ず)』は共産中国を建国した毛沢東の残した警句だが、いまの中国を理解するためにこの言葉は有用だ。ひとつのデータ、ひとつの側面だけで中国を理解しようとすると、行く先を見失う。森と木をバランスよく見て初めて、中国という大国を理解できる」と語るのは、ニューズウィーク日本版の長岡義博編集長です。いまの中国について、気になるデータをもとにひも解いてもらいました。数字が物語るのはこの国の巨大さ、経済発展を背景にした変化のスピード、そして社会の複雑さです。

    男性7億1137万人、女性6億7871人。男性が3266万人も多いのは男尊女卑の価値観と1人っ子政策ゆえ。男性の結婚難「剰男(ションナン)」だけでなく、売り手市場で条件を厳しくし婚期を逃す「剰女(ションニュイ)」現象も。政府は2人っ子政策に切り替えたが、少子化は止まらず早ければ2023年頃から人口減少が始まるといわれている。

    2017年の数字。日本円で約62万円。農村住民はその3分の1の1万3432元(約23万円)。日本と比べるとまだ差があるように見えるが、IT企業の中には日本企業を上回る高給を出す会社も。中国版ウーバーのドライバーなど副業も盛ん。

    かつて中国は農民が人口の大半を占める国だったが、経済成長によって労働力として都市に出稼ぎ農民が集まり始め、都市住民と農村住民の人口比が逆転した。ただし都市に移住した農民は都市戸籍がないため教育や福祉を受ける権利がなく、社会問題になっている。

    2017年12月時点の電気自動車(EV)を中心とする新エネルギー自動車保有量は約172万9000台。電気自動車150万台のうち、乗用車は80万1000台。中国政府は20年までに500万台の電気自動車・プラグインハイブリッド車の導入を目指す。実現すれば20年時点で世界のEV普及車の約60%が中国で走っていることになる。

    日本円で年間約1850兆円。2017年のデータで、前年の2倍以上に増えた。あまりに急拡大したので、リスク回避のためQRコードで読み込む場合の利用額の上限が1日500元(約8500円)に設定された。人手を介さずに決済できる便利さから利用が広がったが、ニセQRコードを使った詐欺事件も起きていた。

    中国IT大手の騰訊(テンセント)が運営するSNS微信(WeChat)の利用者数。中国人だけでなく外国人も含む。フェイスブック傘下のWhatsApp(15億人)に次ぐ規模に急成長している。メッセージアプリだけでなくキャッシュレス決済「微信支付(WeChat Pay)」やゲームも利用できる。ご祝儀を送り合う「紅宝」機能も人気。ただし中国SNSはすべて政府の検閲対象でWeChatも例外ではない。

    以上の記事は、Pen9/1号「いま最も知りたい国「中国」最新案内。」特集からの抜粋です。
    アマゾンで購入はこちらから → http://amzn.asia/d/8L6Zt8j