クリエイター×産官学で日本のビジョンがカタチになる? 「カルチャー・ヴィジョン・ジャパン(CVJ)」が発進です!

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    イベントにて展示された名和晃平作『PixCell-Armor』。透明のガラスビーズで覆われた本作のモチーフは、戦国時代の武将・朝倉義景の「甲冑」。東京の夜景をバックに、映り込みさえも映えます。写真:外山温子

    カワイイだけじゃない、クールなだけじゃない、伝統だけでもない「いま」のNIPPON、そしてTOKYO。そこにうごめく鬼才・偉才、主張そしてクリエイションの数々を、どう発信していくべきか? 2020年を見据え、クリエイターと産官学の垣根を超えた共創の場が、昨年に生まれました。一般財団法人「カルチャー・ヴィジョン・ジャパン(CVJ) 」です。多くの組織が参画すると、とかく縦割りになりがちなところに、アートとカルチャーという横串を通し、より自由に話や活動のできる場をつくろうという試み。いわば「地ならし」としての活動期間を経て、さる10月20日、“Culture Vision Tokyo”というキックオフイベントが、六本木ヒルズ森タワーの「東京シティビュー」にて開かれました。

    イベントに先立つ記者発表会で、CVJの増田宗昭会長はこう語りました。「1914年に起草されたオリンピック憲章には、オリンピズムが求めるものは『生き方の創造』だ、とあります。そこに倣い、CVJは2020年のレガシー形成のプラットフォームとなれるよう活動していきたい。今日は、まずこういう場が生まれたことを知っていただきたく思います」

    “TOKYO”の情景を可視化する一夜限りの試みに挑んだのは、CVJのアドバイザーでもある総合ディレクターの谷川じゅんじ氏以下、日本を代表するクリエイターやアーティストたち。名和晃平氏やチームラボやライゾマティクス、WOWによる作品展示や、蜷川実花氏の監修でパフォーマー連が繰り広げる「TOKYO道中」、さらにはVERBALをはじめとするDJ陣による音楽……。五感を刺激する空間が地上52階に広がり、招待客を魅了しました。

    このイベントを手がけるにあたり、谷川氏が重視したのは、東京という街のもつ創造力を見せること。「この街のライブ感を味わってもらうこと。クリエイターたちの発するエネルギーを感じてもらうこと。そこを、このイベントのコンセプトにしました。CVJは、オープンリソースな場。いまはばらばらに存在する多彩な才能をもった人、モノ、ことのつながりを生む役割を担うのだと思っています」

    このオーガニックな場が今後、いかに一般市民を巻き込み、地方にも飛び火し、日本のみならず世界に話題を提供していくのか。注目です。(Pen編集部)

    WOW作『wind form_03』。鉄のフレームの中でオーガンジーと風を用いたインスタレーション。鉄と布、浮力と重力が織りなす「現象のアニメーション」を切り取った作品。写真:外山温子

    IMG SRC作『Flip Dots』。枯山水の砂の動きをFlip-Dotsで表現。静と動、白と黒、相対するふたつのもので、浮世絵の絵柄や日本古来の紋様を形づくっていく。写真:外山温子

    team LAB作『Black Waves』。コンピューター上で、三次元上の水の動きをシミュレーションして構築された「波」。水が波となることは知っているはずなのに、誰も見たことのない、しかし見慣れた波の動きに果てしなく見入ってしまう。写真:外山温子

    蜷川実花監修『TOKYO道中』。会場内を、ayabambiをはじめとする個性的なパフォーマーたちが練り歩く。

    この日集まったCVJの理事・顧問・アドバイザーの面々。前列右から3人目が増田宗昭会長、左から4人目が谷川じゅんじ氏。写真:外山温子