日本と中国の注目企業がパートナーシップを締結、ふたつの市場で展開される新たなコンテンツ事業とは?

  • 文:笠木恵司

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調印後の契約書を披露する中西一雄CE代表取締役社長(左)と、中信出版集団の王斌董事長。

蔦屋書店などを全国展開する生活提案企業、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社であるカルチュア・エンタテインメント(CE)は、9月27日に中国の中信出版集団との合弁による「中信出版日本」を設立する契約調印式を行いました。

中信出版集団は1988年に設立された中国中信集団の出版子会社。中国における出版・発行事業に関してトップクラスの豊富な実績とノウハウを有しているほか、中国主要都市の空港を中心にとして72か所(2016年末)に書店も展開しています。一方のCEも、日本全国に店舗網とTカードという強力なプラットフォームを持つCCCグループにおけるエンタテイメント・コンテンツの調達企業として、映像・出版・音楽などを企画・製作してきました。

このように日本と中国の注目企業が手を組んで設立される新会社は、①中日両市場における出版・発行、②中日両市場における著作物のライセンスビジネス及び運営、③文化交流に関連するサービスの企画・運営、が主な事業内容。出版物をコアとした幅広いコンテンツの日本と中国における相互流通はもちろん、将来的にはライフスタイルや文化の交流も促進していくとしています。新会社は今年11 月に資本金1億円(中信60%、CE40%)で東京都に設立する予定。

東京・代官山蔦屋書店で行われた調印式では、中信集団の蒲堅(プ・ケン)執行董事副総経理が「この合弁会社によって、出版や著作権運用のみならず、文化ツーリズムや企画展示など多彩な方面でブレイクスルーを実現できると信じております」とあいさつ。続いてCCCの増田宗昭代表取締役兼CEOも次のように話しました。

「お客様をよりハッピーにするためにコンテンツの制作も積極化していますが、それを中国の皆様にも楽しんでもらうと同時に、中国の膨大なコンテンツも日本にご提供いただくことが僕の願い。経済的なことで中国とお付き合いすることも大切ですが、文化の持つ力は“好き!”“面白い!”という感覚。それを共有することが両国のより良い関係を築く鍵になると信じます」

当面は両者の出版物の翻訳による相互流通が中心になりますが、映画やテレビドラマ、アニメ化など多元的な展開も視野に入れており、増田社長の言う“好き!”“面白い!”が両国共通で爆発的に広がる日も決して遠くはなさそうです。

「好き!面白い!という文化の力が、日中のより良い関係を築く」と増田宗昭CCC代表取締役兼CEO。

中信集団の蒲堅執行董事副総経理は「出版業界が落ち込む中で、高い業績を上げているCCCを深く尊敬します」と挨拶。

左から、白方啓文CE社長補佐、王斌中信出版集団董事長、増田宗昭CCC代表取締役兼CEO、程永華中国駐日本国大使館特命全権大使、蒲堅中信集団執行董事副総経理、中西一雄CE代表取締役社長、陳非中信出版集団副総裁兼COO。