ブラウンの100周年を記念し、歴代のプロダクトが並ぶ展覧会が開催中。

  • 文:河内秀子

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BERLINベルリン

ブラウンの100周年を記念し、歴代のプロダクトが並ぶ展覧会が開催中。

文:河内秀子

1950年代〜70年代のものを中心に、コーヒーメーカーやキッチンマシン、オーディオなどがをずらりと並ぶ。人の手に馴染む曲線が魅力。オーディオは多機能でもボタンなどを並べすぎない、スッキリと美しいたたずまい。©️ Foto: Gianni Plescia

ドイツの家電メーカー、ブラウン(BRAUN)が今年で創業100周年を迎える。各地で展覧会が企画されているが、ドイツデザインを代表するミニマルな機能美を堪能するなら、ベルリンのプライベートコレクション「エッテル・デザイン・ミュージアム」を訪れてみてほしい。1950年代〜80年代までの約1200点のブラウン製品が一堂に会する。

ブラウンのデザインが一新されたのは、1951年にエルヴィンとアルトゥールのブラウン兄弟が創業者の父親から会社を引き継いでからのこと。エルヴィンの戦友だったフリッツ・アイヒラーが、初代デザイン・ディレクターに迎えられたことが大きな転機となったのだと、このコレクションを所有する元美術教師のヴェルナー・エッテルは言う。

このコレクションの代表であるヴェルナー・エッテル(右)と、ありとあらゆるデータを知り尽くすブラウンデザイン百科事典のような存在のミヒャエル・ウンガー。©️ Foto: Gianni Plescia

アイヒラーは、バウハウスで学んだヴァーゲンフェルトやヒルヒェといったプロダクトデザイナーを招聘した。また、バウハウスの精神を継ぐウルム造形大学からグラフィックデザイナーのオトル・アイヒャーを呼んで、ロゴや書体などのいまで言うコーポレートデザインを担当させた。

そして1955年、若干23歳の建築家ディーター・ラムスがデザイナーとしてやってくる。彼は新しい技術や素材を積極的に取り入れ、説明書を読まなくてもパッと感覚的に自然と操作できるような、わかりやすく主張しすぎないデザインを次々と生み出した。「グッドデザイン」はブラウンのトレードマークとなり、ラムスはそれを代表する顔となったのだ。

1956年、ディーター・ラムスがデザインしたレコードプレーヤーとスピーカー、ラジオが一体型になったオーディオ「SK4」(別名「白雪姫の棺」)が縦に並ぶ。ラムス率いるブラウンデザイン史のマイルストーン的存在を、ずらりと重ねたコーナーだ。©️ Foto: Gianni Plescia

オーディオを陳列する棚も、ディーター・ラムスがデザインした「ヴィツゥ」社のもの。©️ Foto: Gianni Plescia

ブラウンデザインのファンお気に入りのプロダクトがずらりと並ぶ今回の展示。20代の若い世代には、ミニマルなものだけでなく1970年代に生まれた流線型のデザインも人気があるそうだ。

デザイン好き垂涎のコレクションをまとめて見ることができる絶好の機会、お見逃しなく。

システム家具の開発など、産業デザイナーとしてドイツデザイン界を牽引する存在だった、ウルム造形大学のハンス・グジェロが1961年にデザインしたシェーバー「Sixtant SM31」。©️ Foto: Gianni Plescia

レコードプレーヤー付きのポータブルラジオ「TP1」。ウォークマンに先駆けて生まれた携帯式のオーディオは、1959年のものとは思えないタイムレスな美しさ。iPodとの類似性が指摘されることもある、「いいデザインは革新的であり、わかりやすい」を形にしたような不朽の名作。©️ Foto: Gianni Plescia

エッテル・デザイン・ミュージアム

「ブラウン100周年、ブラウンデザイン友の会会員のお気に入り」展

開催期間:2月1日〜7月26日
開催場所:Braun-Sammlung Ettel Museum für Design
Elberfelder Strasse 37, 10555 Berlin
開館時間:11時~17時
休館日:火〜土
入場料:無料
www.braundesignsammlung.de