遺書を用意して挑む利用客も──500人以上に会って見えた「女性向け風俗」の実態

  • 文:今泉愛子

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『「女性向け風俗」の現場 彼女たちは何を求めているのか?』柾木 寛 著 光文社 ¥946

女性向け風俗店を運営する著者は、この道6年、500人以上の女性と出会ったという。本書で著者は、どんな女性がなにを求めて利用しているのか、女性向け風俗の実態を明かす。


女性向け風俗を利用する女性は、20代から70代まで幅広く、要望も人それぞれ。新婚2年目だが夫とはセックスレスだという女性もいれば、彼と初めて泊まりに出かける前に体験しておきたいという21歳の処女もいる。男性に比べれば、女性が風俗店を利用することはハードルが高い。ネット上の情報を何カ月にもわたってチェックしたという人も多く、利用にあたっては、事故に巻き込まれて殺されたときのために、「遺書を用意した」と語る女性もいるとか。


そこまでしても利用するのは、諦めや喪失感を抱えているからだ。「感じないのはお前のせい」とパートナーから言われて悩む女性もいれば、不倫相手と会えない日に利用する女性もいる。女性を風俗店へと向かわせるのは心の要素が大きい。それゆえ著者にとっては危険もある。「宿泊コース」をホームページからなくしたのは、心をゆだねてしまう「沼る」女性が頻発するからだ。通常の3時間コースであってもリピート間隔は最低1カ月空けるのも同様の理由からだ。


著者は女性の性を、女性と男性、両方の立場から解説する。女性が満足するためには、男性の理解が欠かせない。男性から「気持ちいい?」と聞かれて「気持ちよくない」と答えられる女性は少数派。ならばどうすればいいのか。ヒントも随所に盛り込まれている。