つなぐのが人類の証?「ビーズ つなぐ・かざる・みせる」で深遠なるビーズ...

つなぐのが人類の証?「ビーズ つなぐ・かざる・みせる」で深遠なるビーズの世界へようこそ。

文:脇本暁子

「ビーズ」と聞いてあなたは何を連想しますか? 身近な言葉である「ビーズ」を辞書でひいてみると「糸通しの穴があいた球状などの小さな飾り玉」とあります。これらビーズをつなげていくこと、簡単そうで意外に難しいこの作業は、じつはチンパンジーには不可能で、ホモ・サピエンスである私たちしかできないことなのだそう。人類が最初に作ったビーズは10万年前ともいわれています。この人類最古のアートともいえる身近でありながら深遠なテーマを扱っているのが、現在、国立民族学博物館で開催中の開館40周年記念特別展「ビーズーつなぐ・かざる・みせる」です。会場でまず驚くのはビーズの素材の多様さです。貝や木の実、石、ガラスなどはイメージできても、猿や犬、鯨などの動物の歯や牙、ヤマアラシのとげやダチョウの卵の殻、虫の羽まで! ありとあらゆるものを人類はつないできました。膨大な時間や労力を費やして、多彩な文様がびっしりと埋め尽くされている首輪や仮面、衣装や器など、古今東西のあらゆるビーズワークが紹介されています。

古代エジプトでは死からの再生のための祈りとして、チベットでは魔除け、ソロモン諸島などでは貝貨という貨幣として、または社会的地位や稀少な交易品として、世界中で、ビーズは装うための装飾品だけでなく果たしてきた役割もさまざまです。言葉や思想や宗教が違えど、モノとモノをつなぐ行為は世界共通です。人類が人類である証のビーズはまた太古の昔から人と人をつなげてきたのです。壮大な時を超えて人類が魅了されてきたビーズの世界にあなたもきっと感じるものがあるはずです。

祭儀供物用 仮面(メキシコ)/国立民族学博物館蔵

ビーズ製人像(ナイジェリア)/国立民族学博物館蔵

供儀用容器(メキシコ)/国立民族学博物館蔵

開館 40 周年記念特別展「ビーズ―つなぐ・かざる・みせる」

開催期間: ~ 6 月 6 日(火)
開催場所:国立民族学博物館 特別展示館
大阪府吹田市千里万博公園10−1
開館時間 10時~17時(入館は 16時30分まで)
休 館 日 水曜日(ただし、5 月 3 日(水・祝)は開館)
電話:06-6876-2151(代表)
観 覧 料 一般 ¥420
http://www.minpaku.ac.jp

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Feature Product 宙空の美を湛える「カンパノラ」とともに感じる、時を愛でる愉しみ
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