名作『友へ チング』から12年、 さらに深く絆を描き出した続編『チング 永遠の絆』が公開。

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    ソウルでタクシーに乗った時のことです。日本語が上手な運転手さんから、日本から?と尋ねられ、「ええ、“チング”と旅行です」と、チングは友だちの意味だったよな、と思い出しながら答えたところ、笑い飛ばされました。「いやぁ、お客さんたちはチングじゃない」。私たちチングですよ、パリも一緒に行きました、と説明しても運転手さんは首をふるばかり。「チングっていうのはね。小さい頃から一緒で、ずーっと一緒で、家族っていうか、親兄弟っていうか。一人いるかいないかじゃないの。それがこっちのチング」
    釜山を舞台にしたヤクザ映画の名作『友へ チング』から12年を経て発表された、続編『チング 永遠の絆』。観た時に思い出したのが、この運転手さんの話していたチングでした。前作『友へ チング』から17年後、親友ドンス(チャン・ドンゴン)を殺害した罪で服役していたジュンソク(ユ・オソン)が出所するところから物語は始まります。刑務所で目をかけていた若者ソンフン(キム・ウビン)を弟分に、再び抗争に自ら身を投じるジュンソク。非情なシーンもさることながら、男たちの因縁と、導かれるような彼らの行動の一つひとつが心に刻まれます。ドンスとジュンソクの仲、世代を超えて新たなつながりを見出したジュンソクと弟分ソンフン。しかし宿命は、男たちに非情な人生を歩ませます。チングの絆とは、なんと深いものなのでしょうか……。
    クァク・キョンテク監督の撮る絵は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』や『ゴッドファーザー』シリーズを彷彿させるていねいさで、バイオレンスに彩られた物語ながら、前作と同様、やはり美しいと言わずにいられません。イケメン若手俳優の枠を超え、荒々しいピュアさをスクリーンに焼き付けたキム・ウビン、深い因縁を背負った男の人生を静かに魅せた主演ユ・オソン。両雄並び立たずと言われますが、この映画では2人の男の輝きが炸裂しています。男が惚れる男たちが、ここにいます。(Pen編集部)

    『チング 永遠の絆』

    監督:クァク・キョンテク
    出演:ユ・オソン、キム・ウビン、チュ・ジンモ
    2014年 韓国映画 2時間2分
    配給:東京テアトル 日活
    9月6日(土)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
    http://ching-kizuna.com/