ベネツィア銀獅子賞受賞作『スパイの妻』で、黒沢清が描き出す夫婦の運命。

  • 文:細谷美香

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©2020 NHK, NEP, Incline, C&I

【Penが選んだ、今月の観るべき1本】

1940年、太平洋戦争前夜。神戸で貿易会社を営む優作は、看過できない日本の非人道的行為を知り、明るみにすべく動き出す。反逆者として疑われ、それまでと違う顔を見せる夫を妻は信じ抜こうとするが──。全体主義が押し迫る中、人はなにを信じどう生きるかという問いかけを、美しく不穏さが漂う映像に忍ばせたサスペンス。本作で黒沢清監督は、今年のベネツィア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞した。



現代女性の痛みを突き付ける、韓国発のベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』を映画化。

ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに、芸術家の覚醒を描く『ある画家の数奇な運命』。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』が描く、分断される世界に差す一筋の光。

『スパイの妻』
監督/黒沢清 
出演/蒼井優、高橋一生ほか 2020年 日本映画 1時間55分
10月16日より新宿ピカデリーほかにて公開。
https://wos.bitters.co.jp/