動画配信サービスの覇者“ネトフリ”が、 成功をもぎ取った戦略のすべて。

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    『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 GAFAを超える最強IT企業』

    ジーナ・キーティング 著 牧野 洋 訳

    動画配信サービスの覇者“ネトフリ”が、 成功をもぎ取った戦略のすべて。

    今泉愛子ライター

    アップル、アマゾン、フェイスブックなど、アメリカの有力企業の成功物語はたびたびベストセラーになってきた。アイデアと才能、情熱と努力、そして運に恵まれた時、事業は軌道に乗り、社会を動かす力をもつようになる。あらゆる苦労が身を結ぶストーリーは、読む者に高揚感をもたらす。

    有料会員数が1億人を超え、いま最も勢いのあるIT企業のひとつといわれるネットフリックス。本書は、同社が1997年に郵送によるDVDレンタル事業で創業してから、途中大きく業態転換してストリーミング配信に軸足を移す頃までの成長の軌跡を描く。

    これまで出版された多くの成功譚とひと味違うのは、創業者の情熱や苦悩ではなく経営戦略に焦点を当て、綿密かつダイナミックに記述している点だ。DVDレンタルのアイデアを思い付いた創業者のマーク・ランドルフは社を去り、以降はもう1名の創業者、リード・ヘイスティングスが経営を担う。情熱的で思いやりのあるランドルフではなく、冷静で合理的なヘイスティングスがトップに立ったことで企業文化は大きく成果主義に傾く。アマゾンの参入阻止やレンタルDVD事業大手のブロックバスター社との熾烈な戦いは、サッカーの試合観戦のような手に汗握る面白さ。新規顧客獲得にはどんな手法が効果的か、広告キャンペーンにいくら予算を割くのかなど、現場でのやりとりは実に生々しい。

    彼らは、ときにブロックバスター社の財務状況を分析し、キャッシュがいつ足りなくなるかを予測した。どちらが先に音を上げるかの我慢勝負だった時期もあったが、勝ったのはご存じの通りネットフリックス。まさに生き馬の目を抜くIT業界を勝ち抜くための秘訣が満載だ。この続きのストーリーも早く読みたい。

    『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 GAFAを超える最強IT企業』

    ジーナ・キーティング 著

    牧野 洋 訳 

    新潮社 

    ¥1,944(税込)