音楽の聴き方を変えた企業、スポティファイの実態に迫る。

音楽の聴き方を変えた企業、スポティファイの実態に迫る。

文:今泉愛子

『Spotify 新しいコンテンツ王国の誕生』スベン・カールソン/ヨーナス・レイヨンフーフブッド 著 池上明子 訳 ダイヤモンド社 ¥1,980(税込)

世界最大の音楽ストリーミングサービス、「スポティファイ」。現在もCEOを務めるダニエル・エクが、投資家マルティン・ロレンツォンと2006年にスウェーデンで創業したスポティファイ・テクノロジーが展開している。

本書で描かれたスポティファイの成長物語は、まさに音楽の楽しみ方の変遷と一致する。1983年生まれのエクは、CDではなくパソコンを通じて音楽を自由に楽しむようになった世代だ。2000年以降に違法ダウンロードが横行していたことから、彼は正当に音楽を楽しむストリーミング環境を整えるために起業を考えたという。

創業後、優秀なプログラマーを次々と採用して、ダウンロードの待ち時間なしに音楽の再生ができるようにした。その後、定額料金を基本とするサブスクリプションモデルを導入、モバイルアプリのリリースへと続く。

スティーブ・ジョブズ率いるアップルがiTunesで楽曲を1曲単位で購入できるようにしたのが2003年のこと。ジョブズは当時「サブスクリプションは誤った方法」と述べたが、現在アップルはサブスクリプションで音楽を提供する。方針転換を余儀なくされたのだ。今年6月でスポティファイの有料会員数は1億3800万人に達し、アップルを大きく引き離す。

本書は、レコード会社との息の詰まる折衝や度重なるアップルからの妨害、フェイスブック社の協力で本格化したアメリカ進出、動画ストリーミングの頓挫、ボブ・ディランやテイラー・スウィフトによる一時的な楽曲提供の中止など、厳しい状況下で企業として奮闘する様子を詳細にリポート。社内では、多くのIT企業と同様に徹底した業績主義を貫く姿勢が印象的だ。きれいごとばかりではない、一企業の成長物語に圧倒された。



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