いまの音楽シーンを牽引する奇才、フライング・ロータスが5年ぶりに新作をリリース!

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    『フラマグラ』

    フライング・ロータス

    いまの音楽シーンを牽引する奇才、フライング・ロータスが5年ぶりに新作をリリース!

    柳樂光隆ジャズ評論家/音楽ライター

    1983年、米カリフォルニア州生まれの音楽プロデューサー。2014年の『ユーアー・デッド!』がグラミー賞候補に選ばれ、サンダーキャットの出世作『ドランク』では大半の楽曲をプロデュースするなど、そのクリエイティビティの泉は尽きない。

    アメリカ西海岸の音楽シーンを牽引し続ける奇才、フライング・ロータスが5年ぶりに新作『フラマグラ』をリリースした。彼の動向はビートミュージックからヒップホップ、ジャズのシーンにまで影響を及ぼす。そんな音楽シーンのキーマンのもとにはソランジュ、アンダーソン・パーク、デンゼル・カリー、ティエラ・ワックといったヒップホップ/R&Bのアーティストだけでなく、ファンクのレジェンドのジョージ・クリントン、更には映画監督のデヴィッド・リンチまでが名を連ねる。今作は、近年のトレンドに通じる部分もありつつ、同時に、これまで何度も予言的な音楽を発表してきた彼ならではの独自性も感じさせる。

    フライング・ロータスといえば、自身が運営するレーベル「ブレインフィーダー」でジャズ周辺の敏腕たちによる個性的な音源を積極的にリリースしていて、カマシ・ワシントンやサンダーキャットをはじめ、生演奏のサウンドが大きな反響を呼び、ジャズシーンにも刺激を与えている。同レーベルでのフライング・ロータス自身は、それらに影響されているかのようにサンダーキャットやロバート・グラスパー、ブランドン・コールマンなどを起用。彼らしい変幻自在なビートや予想を裏切る展開はありつつも、ファンクやジャズファンクを思わせる、バンド的なソングライティングの楽曲が数多く目につく。ビートメイカーとしてのプログラミングから一歩踏み出し、作・編曲家としての側面が出てきたように聴こえ、そうした彼の音楽家としての成熟が、本作を特別なものにしている。

    エレクトロ・ヴォイスを操る日本人アーティストのオノシュンスケが参加し、チームラボの工藤岳に捧げられた「Takashi」、渡辺信一郎が手掛けた「More」のPVなど、フライング・ロータスの日本カルチャー愛にも要注目の一枚だ。

    『フラマグラ』
    フライング・ロータス
    BRC-595
    ビートレコーズ
    ¥2,592(税込)