マイク・ミルズの同名映画とリンク! ずっと聴いていたいザ・ナショナル最新作。

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    『アイ・アム・イージー・トゥ・ファインド』

    ザ・ナショナル

    マイク・ミルズの同名映画とリンク! ずっと聴いていたいザ・ナショナル最新作。

    鈴木宏和音楽ライター

    1999年、米ブルックリン結成のインディー・ロックバンド。2017年に『スリープ・ウェル・ビースト』が第60回グラミー賞の最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム部門で受賞し、最優秀レコーディング・パッケージ部門にもノミネートされた。

    ずっと聴いていたい。いつまででも浸っていたい。そんな想いに駆られてしまう。乾いた砂が水を吸い込むように、曲を追うごとに音と歌が全身へ沁み渡っていく感覚。同時に脳内には、扉がひとつ、またひとつと開き、魅惑の世界へと連れ出されるような夢想が広がっていく。なるほど、これを映像化したくなるというのも頷ける。
    そう、前作でグラミー賞を初受賞した遅咲きのロック・バンド、ザ・ナショナルの通算8枚目となるニュー・アルバム『アイ・アム・イージー・トゥ・ファインド』は、このアルバムにインスパイアされた映画監督、マイク・ミルズによる同名映画と合わせてリリースされる、異色の一作。マイク・ミルズによると、ヴィジョンこそバンドと共有しているものの、アルバムは映画のサントラではないとのこと。だから異色なのだ。
    メンバーのソロ活動も含めて、最近でもボン・イヴェール、スフィアン・スティーヴンス、チャーチズなど多彩なアクトとコラボレートしているザ・ナショナルだが、今作にはリサ・ハニガン、シャロン・ヴァン・エッテン、ミナ・ティンドルほか女性シンガーが多数参加。ストリングス隊を加えつつも余白の美しさを活かしたバンド・サウンドにのせて、たおやかな光彩を放ちながらメロディを紡ぐ彼女たちの歌声は、時に天使のようで、アルバムの世界観を決定づけている。
    そしてさらに今作をスペシャルなものにしているのが、ブルックリン青少年合唱団だ。どこまでも透き通った、凛としたハーモニーで、スピリチュアルな息吹を吹き込んでいる。
    もしもこんなサントラがあったなら、映画好きな音楽ファンであれば絶対に映画も観たくなるはずだし、サントラではないというマイク・ミルズ作品への興味も膨らむばかり。ザ・ナショナル、圧巻の新章だ。

    『アイ・アム・イージー・トゥ・ファインド』
    ザ・ナショナル
    4AD0154CDJP
    ビート・レコーズ
    ¥2,592(税込)
    5/17発売