これは人種問題、実話、歴史。笑う泣く怒る、拍手して観る!

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    『ブラック・クランズマン』

    スパイク・リー

    これは人種問題、実話、歴史。笑う泣く怒る、拍手して観る!

    綾戸智恵ジャズシンガー

    アダム・ドライバー扮する白人刑事とタッグを組むことになる、主人公の無鉄砲な黒人刑事を演じたのはジョン・デヴィッド・ワシントン。名優、デンゼル・ワシントンを実父にもち、本作の好演によって俳優としての注目度がさらに増している。© 2018 FOCUS FEATURES LLC, ALL RIGHTS RESERVED.

    アカデミー賞に『ブラック・クランズマン』がノミネート。他にもいい映画がいっぱいあったが、これは人種問題、実話、歴史に通ずる。過去を知るといまを考えるようになる。クソ難しい映画?と思ったがとんでもない、エンターテインメント満載や! 笑う泣く怒る、画面なのに思わず拍手したくなる!
    ストーリーは、恐ろしいKKKという団体に挑む黒人刑事とユダヤ系白人の潜入捜査だ。私がスパイク・リー監督の作品に出合ったのは1986年、ブロンクスに前夫と住んでいた頃。「spike lee!men!」と、彼はべた褒め。『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』『ドゥ・ザ・ライト・シング』……観たなぁ、彼と一緒に映画行くとイェーイェーとうるさい。彼だけやなく周りの人からも笑い声が聞こえる。スパイク・リーはコメディのセンスも素晴らしいが社会に投げるメッセージも明確なのだ。
    『ブラック・クランズマン』の話題に戻ろう。時代は70年代後半からのアメリカ、この頃まだトランプ大統領はいないが、聞こえるんだ「アメリカ・ファースト」がね。そして思い出した、88年の夏ジョージア州にいた時に、姑とジェシー・ジャクソンのスピーチ聴きに行った。なぜか涙が、そら感動や。
    NHKの大河ドラマから、歴史上の人物を学校の授業より深く知ることがあるけど、この映画から見えてくることは尋常じゃない。
    KKKの弱虫の狂気、公民権運動家の弱者の勇気。でも、誰が正しいとは言わず、みなさんにどう思いますか?と問いかける。一緒にこれからの世界をつくろうという意志を、スパイク・リーから感じた。個人的にはアダム・ドライバーがユダヤ人とバレそうになり、初めて自分がどこからきたのかを否が応でも知らされるシーン、なんかグーときたな。ところで私はどこからきたの?

    『ブラック・クランズマン』
    監督/スパイク・リー
    出演/ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバーほか
    2018年 アメリカ映画 2時間15分 
    https://bkm-movie.jp