社会の規範に鋭く斬り込む、韓国アーティスト初の小説集『アヒル命名会議』。

  • 文:今泉愛子

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『アヒル命名会議』イ・ラン 著 斎藤真理子 訳 河出書房新社 ¥1,980(税込)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】

シンガーソングライターとしても活躍するアーティストの初の小説集。漢字3文字の姓名が多い韓国で、2文字の著者は幼い頃から異端視され、性別や国籍などあらゆる枠組みに疑問を抱いたと明かす。表題作「アヒル命名会議」では、創造したものの名前について議論する神と天使が登場。「韓国人の韓国の話」では、ニューヨークから韓国に里帰りした女性が、自身が平凡な韓国人であることを嫌悪する姿を描く。人も物も、名前をもつとなにが変わるのか。社会の規範に鋭く斬り込む。



酒飲みの韓国人作家が綴る、食への愛情に満ちたエッセイ『きょうの肴なに食べよう?』

社会の抑圧を少女視点で描く、 2018年ブッカー賞受賞作『ミルクマン』。

大人として生きるのは大変、韓国には「自分一人食わせていくのも手に余る」という言葉もある。