北欧の人気ブロガーがつくった、心地よい部屋づくりの教科書『北欧式インテリア・スタイリングの法則』。

  • 文:川上典李子

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『北欧式インテリア・スタイリングの法則』フリーダ・ラムステッド 著 久山葉子/机 宏典 訳 フィルムアート社 ¥2,640(税込)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】

世界がゆらいでいる時こそ「『秩序と枠組み』をキープすることが特に大事」。そう述べるのはスウェーデンのインテリアデザイナーでスタイリストのフリーダ・ラムステッド。北欧一のインテリアブロガーとしても知られ、フォロワーは15万人を超える。

その彼女が、一般読者に向けたインテリアの基礎知識の本を探し求めてきたという経験を踏まえ、「プロが直感と呼ぶものを、具体的で実用的なルールやテクニックに翻訳」したのが本書だ。2019年にスウェーデンで発行されると、瞬く間に話題となった。

文字中心の2色刷りで、写真はなく図解はイラストのみ。なんとも潔いレイアウトだが、家具やスタイルの好みに関係なく、誰でも活用できる部屋づくりのヒントや家の印象をがらりと変える小さなコツが詰まっている。

たとえばインテリアの黄金比や三分割法といった理論に基づく実用的なアドバイスに始まり、配色、照明の種類など、スタイリングの普遍的なメソッドをていねいにひも解く。応用の効く、まさにインテリアの教科書。各国語版が刊行されるのも納得だ。

なにをスタイリングするかだけでなく、どうスタイリングするのかを説く本書では、スウェーデンのことわざが引用されている。「悪い天候などない。服装が悪いだけで」。インテリアでも適切な選択が問題解決となるのだ。

スウェーデンでインテリアを学び、本書の日本語訳に関わった机宏典はあとがきでこう記す。「自ら問題を分析して解決方法を探っていく力は、インテリアのみならず他にも応用できるはず」。ラムステッドの次の言葉も示唆に富む。「忘れてならないのは、重要な答えのほとんどが自分の中にしか見つからないこと」。基礎知識を蓄えるほどに、暮らしの豊かさを自由に創造していける。いまこそ実践して寛げる家をつくってみよう。



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