では“シングルグレーン”とは、いかなるウイスキーなのか。「文字通り、単一蒸溜所のグレーン原酒だけでつくったウイスキー。非常にめずらしいつくりで、『富士御殿場蒸溜所』だからこそなせる1本です」と根岸さんは語る。
ウイスキーの原酒には、大きく分けて2種類がある。大麦麦芽が原料の「モルトウイスキー」と、トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀類が主原料の「グレーンウイスキー」。前者は濃厚でパンチのある風味が、後者は穏やかで優しい口当たりが特長だ。ちなみに世界で最も飲まれているウイスキーは、この2種類の原酒を掛け合わせたブレンデッドタイプで、バランスのとれた味わいが身上だ。
「モルトもグレーンもブレンデッドも、キリンのウイスキーはすべて『富士御殿場蒸溜所』で製造してきました。キリンがここで40年以上培ってきたウイスキーづくりのノウハウを凝縮するとしたら、どんな1本が生まれるか。それを探求した結果、誕生したのが『キリン シングルグレーンウイスキー 富⼠』でした。水が清らかなこの地がウイスキーづくりに適した場所だからです」
「キリン シングルグレーンウイスキー 富⼠」は、富士御殿場蒸溜所でつくられた個性が際立つ3つのグレーン原酒をブレンドしている。
「まず口当たりのよさをまとめるのが、軽い飲み口のスコッチタイプのグレーン原酒。次にミディアムボディのカナディアンタイプのグレーンは、フルーティーさと味わいの余韻を与えます。さらに風味が豊潤でヘビーなバーボンタイプのグレーンもプラスする。モルトウイスキーなしでも、香味が華やかで飲みやすい1本です。世界に様々な蒸溜所がありますが、こうしたつくり方をしているのは我々だけです」と根岸さんは語る。