隈研吾氏設計の「グランドセイコースタジオ 雫石」。ブランド哲学を具現化する木造建築だ。
視線を釘付けにするのが、どこにもないサーフェスの白文字盤である。縦方向に繰り返すアトランダムな起伏は、白樺の木肌を表現したものだ。美しい樹皮を想わせるテクスチュアは、グランドセイコーの機械式腕時計がつくられる「グランドセイコースタジオ 雫石」の心象につながっていく。
同じ岩手にあり、白樺の群生で日本一と言われる平庭高原に見られるような豊かな自然の情景を、静謐な美しさの文字盤に写しとった。その表情を、ケースに施された新機軸の仕上げが引き締める。鏡面部分を自制して筋目仕上げのワークを増やし、ベゼルもマットな質感。絶妙な光陰の立体感が演出された。
盛岡セイコー工業内のグランドセイコーの機械式腕時計を製造する専門工房「グランドセイコースタジオ 雫石」で、専任の時計師が組立・調整を行う。
毎秒10振動のハイビートで、驚きの約80時間のパワーリザーブ。デザインも一新された伝統の“9S”シリーズ最新型「9SA5」を搭載する。
凛とした逞しさも、新しいデザインの魅力である。時針は従来の通常モデルとはまったく異なり、驚くほど太い。しかも12時位置のインデックスは約2.5倍と極限まで横拡張された。時を一瞬で確認させる実用性が美意識と矛盾しない。それは確固として揺るがない、グランドセイコーのスタイルなのだ。搭載されるのは限定モデル以外では初となるキャリバー〝9SA5〞。毎秒10振動のハイビートでありながら、約80時間のパワーリザーブを誇る。
グランドセイコーのブランドフィロソフィーは、〝THE NATURE OF TIME〞である。「自然」であり「本質」でもある「nature」の語義に、日本の美意識と匠の技の鮮やかな重なりが反照する。1960年に誕生したグランドセイコーは、67年の名機「44GS」で〝セイコースタイル〞を確立し、98年に「9Sメカニカル」で機械式モデルが再登場する。歴史を通じ、世界に誇れる日本最高峰の高級腕時計の基本スタイルは変わらない。今回の新作はそのプロトコルを遵守しながらの、大きな飛躍。絶対的コードの濃度を最大限に高め、自己表現力を強化した、今までにない無二の個性を主張するグランドセイコーなのである。
相談相手として頼れる、オンラインの専門店
昨年11月に新たに開設されたのが「グランドセイコーブティックオンライン」。サイト内ではグランドセイコーの商品情報を網羅し、条件を入力しながら自分好みのモデルを検索できる。さらに見逃せないのが、ブティック実店舗まで出向かなくてもスマホやPC経由で相談が可能な「オンラインコンシェルジュ」(要予約)。通話(ビデオ通話)を介して、グランドセイコーブティックのスタッフが1対1で商品選びを手伝ってくれるというサービスだ。
https://www.grandseikoboutique.jp/