写真家・桑島智輝が撮り続けてきた妻・安達祐実との日常を、写真展『前我我後』で見る。

  • 写真・文:Pen編集部

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規則正しく展示された大量の写真。縦一列をつくる6枚の写真は、それぞれ同じアルバムの中から選ばれたものだ。右から左に向かって時系列に沿って並んでいる。

壁一面に整然と並んでいる写真。近寄ると俳優、安達祐実さんのリラックスした表情や食事の様子、なにげない風景など、生活のシーンが映っている。渋谷パルコの地下1階、ギャラリーXにて安達さんの夫であり写真家である、桑島智輝さんの個展『前我我後』が開催中だ。

桑島さんは2014年に安達さんと結婚、16年、二人にとって初めての子どもが誕生した。19年に写真集『我我』を発売。この写真集には14年11月13日の結婚記念日から約3年間を過ごす中で桑島さんが撮り続けてきた写真が収められている。今回の個展は14年から20年3月11日までに撮影された膨大な数の写真から、『我我』に収録されていないものも含む、合計418枚を展示。個展のタイトル通り、『我我』の前後が集約されている。

会場の入り口から奥に進むにつれて、写真は時系列に沿って並んでいる。縦一列をつくる6枚の写真は、それぞれ1冊のアルバムからピックアップされたもので、写真同士のバランスや調和を重視して選ばれたという。

会場の中央には6枚のパネルで組み立てられたオブジェが設置されている。下段には咲きほこる茂みの中に横たわる安達さんの写真。桑島さんは以前、自身の作品を見た人に言われた「(桑島さんは)撮り続けることで安達さんを疑似的に殺している」という言葉が印象に残っており、その言葉を意識して選んだものだという。

家族の日常を切り取った一枚一枚はどれも味わい深く、鑑賞者にとって自分の家族や日常と重なるような場面もあるだろう。しかし、壁から少し離れて全体を見渡すと、ひとつの家族が過ごしてきた濃密な時間の記録に圧倒される。一枚ずつの写真だけでは分からない、写真がもつパワーを実感するような展示だ。


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桑島さんの妻であり女優の安達祐実さんが多くの写真に映る。

会場の中央に設置されている6枚のパネル写真。左下のパネル写真は桑島さんの自宅でも飾られているもので、上のパネル写真にもその様子が映っている。

大根を持った安達祐実さんのポスターが、会場に訪れる人々を迎える。会場内では写真集『我我』に加え、完全限定生産のタブロイド写真集『前我我後』やオリジナルグッズも販売中だ。

桑島智輝 写真展 「前我我後」

開催期間:開催中~2020年7月12日(日)
開催場所:GALLERY X
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ地下1階
開館時間:11時~21時
入場料:¥600(税込・入場特典有り)
※事前予約優先、当日券有。
※新型コロナウィルス感染拡大防止につき開館時間が変動する可能性があります。その場合は渋谷パルコの営業時間に準じます。
https://art.parco.jp/galleryx/detail/?id=414