これぞ、歴史的展覧会。写真で埋め尽くされた空間が出現する、ツァイト・フォト・サロン 最後の展覧会 「Le bal」 がすごい!!

    Share:

    安齊重男 「石原悦郎、東京、1978年2月17日」(ツァイト・フォト・サロンのオープニング記念展のための展示作品を選ぶ石原悦郎、自由が丘画廊にて)  ©ANZAÏ 

    日本で最初の写真専門ギャラリー「ツァイト・フォト・サロン」をご存じでしょうか? オーナーは石原悦郎さん。70年代のパリでアンリ・カルティエ=ブレッソン、ブラッサイ、ロベール・ドアノー、ウィリアム・クラインといった名だたる写真家たちとの交流を重ねました。

    彼らとの付き合いから「写真」の芸術的価値の可能性をいち早くかぎとり、1978年に日本初の写真専門ギャラリーを東京・日本橋に創設します。当時はまだ国内に写真を美術品として扱う文化さえない時代。周囲の意識を変えるところから彼の挑戦はスタートしました。アジェやマン・レイのオリジナル・プリントを扱い、80年代には荒木経惟や森山大道の写真展を手がけ、畠山直哉や松江泰治といった作家を世に送り出しました。石原悦郎という人物は日本に写真芸術文化の礎を築いた人物、まさに日本写真界のパイオニア的存在です。

    その石原さんが今年の2月にこの世を去り、惜しまれつつも画廊は2016年12月に38年間の歴史に幕を閉じることになりました。グランド・フィナーレを飾るのは「友人作家が集う−石原悦郎追悼展− “ Le bal”」と題した展覧会。“Le bal” はフランス語でダンスパーティの意で、なんと120名を超える作家が本展に協力し、総点数は200点近くに上るといったまさにパーティのような華やかさ。到底、一度に全作品は掛かりきらないため、彼が愛したブルックナーの交響曲第9番の構成にかけ会期は全3部に分けられます。ギャラリーお蔵出しの貴重なプリントや、作家がこの展覧会のために特別に用意したプリントまで、各会期共60点を超える作品が壁一面を埋め尽くす様子は圧巻の一言。おのずと写真史をなぞる展覧会になることでしょう。この歴史的瞬間、目撃するしかありません。(粟生田弓)

    友人作家が集う - 石原悦郎追悼展 “ Le bal ” DM

    北井一夫 「村へ」より、マタギ、秋田阿仁町 1975年 (1979年のツァイト・フォト・サロンでの初個展に出品した当時のプリント) ©KAZUO KITAI

    石原悦郎の「写真」における業績をまとめた本が10月11日に小学館より刊行されます。『写真をアートにした男-石原悦郎とツァイト・フォト・サロン-』粟生田弓著(小学館刊)¥2,376

    「友人作家が集う−石原悦郎追悼展− “ Le bal”」

    開催期間:
    9月3日(土)~10月5日 Part 1. maestoso(マエストーソ)
    10月11日(火)~11月12日(土)Part 2. scherzo(スケルツォ)
    11月18日(金)~12月22日(木)Part 3. adagio cantabile(アダージョ・カンタービレ)
    開催場所:ツァイト・フォト・サロン
    東京都中央区 京橋3丁目-5-3 京栄ビル 1F
    TEL:03-3535-7188
    開催時間:10時30分~18時30分(火~金)
    10時30分~17時30分(土)
    休:日、月
    入場料無料