大正期を代表する美人画家「竹久夢二」と「京都」との関わりを探る。

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    竹久夢二《鴨東夜花》大正後期 静岡市美術館

    憂いをおびた美人画で大正時代に活躍した竹久夢二。大正モダンが花開く東京での活躍がよく知られていますが、意外にも京都にも縁があります。人生初の個展の会場となったのは、京都府立図書館でしたし、生涯最愛の恋人といわれる彦乃と暮らした土地が京都だったのです。1917年(大正6年)のことでした。それからちょうど100年後、京都に滞在した夢二をテーマにした「夢二と京都の日本画」展が、静岡市美術館で2月18日から開催されます。

    彼の肉筆画、日記、書簡、装幀本など作品と資料約80点で、大正7年に京都を去るまでの夢二の足跡をたどり、その後の影響を探ります。夢二が京都に滞在したのはたった2年の間でしたが、その後の作品にも舞妓や京都のモチーフが繰り返し描かれました。戦前の豪華客船「秩父丸」のためにデザインしたメニューの台紙にも梅の柄の着物をまとった舞妓が登場しています。

    もうひとつのみどころは、夢二が滞在した頃に活躍した京都の日本画家たちの作品です。この頃の京都の日本画壇は、西洋美術の影響を受けながらダイナミックに変化していました。新たな日本画を牽引する竹内栖鳳や気品溢れる美人画を描いた上村松園らの日本画約40点が展示されます。大衆画家でグラフィックデザインの先駆者でもある夢二と、アカデミックな近代京都画壇の画家たちを、同時代の表現として捉え直す面白い試みの展覧会です。(脇本暁子)

    竹久夢二《秩父丸メニュー》昭和初期 三鷹市蔵(髙相コレクション)

    上村松園《春光》(部分)昭和戦前期 京都市美術館

    「夢二と京都の日本画」

    開催期間:2月18日~3月26日
    開催場所:静岡市美術館
    静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー3F
    TEL:054-273-1515
    開館時間:10時~19時(入場は閉館30分前まで)
    休館日:月、3月21日(3月20日は開館)
    入館料:¥1,000 / 大高生・70歳以上¥700 

    http://shizubi.jp/