紙くずやゴミ箱も作品に!? 現代美術作家・山本桂輔が生み出す不思議な世界に...

紙くずやゴミ箱も作品に!? 現代美術作家・山本桂輔が生み出す不思議な世界に迫ります。

写真:江森康之 文:牧野容子

東日本大震災が転機となり、色を極力排除した作品に変化。

紙くずやゴミ箱も作品に!? 現代美術作家・山本桂輔が生み出す不思議な世界に迫ります。

こちらも現在、制作中の最新作。土練機から押し出されたままの粘土を焼き物で、机は木彫で表現。

山本さんにとって、2011年の東日本大震災がひとつの大きな転機となり、いまにつながっているのだそうです。

「以前の作品は、色彩が派手でボリューム感もあって、生命力にあふれているという印象をもたれることが多かった。でも、大震災が発生して、自分がいかにさまざまなことに対して無自覚であったかを考えるようになりました。経済的に厳しくなったこともあり、道に落ちているものや自分が使っていた道具、ガラクタ屋で買ってきたものなどと向き合いながら、そこに彫刻を施したり、部材を加えたりして擬人化させ、作品をつくっていきました。色に対する認識も改めようと、色は極力、排除しました」

それらの作品をまとめて発表した2012年の個展『Brown Sculptures』は、山本さんの新たな境地を感じさせるもので、大きな話題を呼びました。

「『Brown Sculptures』は、もう1度しっかり世界と向き合う手段を見出すための制作でした。世界をどう認識するかというインプットを意識すること。そして、自分と社会と作品が繋がっていきながら歩んで行くことが、いまの自分には重要だと思っています」

彫刻と絵画を両輪として制作を続ける山本さんに、最近、新たな気づきがあったのだとか。

「僕にとって彫刻は、石ころのような、ただそこにある存在の不思議さを意識させるもの。それに対して絵画は、意識の幅を押し広げるものです。絵画は知覚を通して脳につながり、そこで情報が増幅されていく。脳は無限なので、絵画の中には無限の空間があるのかもしれません。いい絵画は非常に知覚を刺激するものです。そういう、絵画のもつ重要な部分を抽出し、それを彫刻と合わせることができたら……と思っています」

常に、社会と自分とのつながりを意識しながら、生活の流れの中で制作を続けて行きたいと語る山本さん。これから先、どのような作品が私たちの前に現れてくるのか、ますます気になります。

紙くずやゴミ箱も作品に!? 現代美術作家・山本桂輔が生み出す不思議な世界に迫ります。

2009年の彫刻作品。山本桂輔『Untitled』。2000年代までの作品にはキノコや草花のようなモチーフがよく使われました。独特の鮮やかな色彩と幻想的な世界感も、この時代の作品の特徴です。 photo by Kei Okano © Keisuke Yamamoto, Courtesy of Tomio Koyama Gallery / Koyama Art Projects

紙くずやゴミ箱も作品に!? 現代美術作家・山本桂輔が生み出す不思議な世界に迫ります。

2007年の油彩。山本桂輔『untitled』。「自分は絵画と彫刻の間で常に揺らめいている」という山本さん。「絵画は四次元ポケットみたいな無限のもの」。photo by Shigeo Muto © Keisuke Yamamoto, Courtesy of Tomio Koyama Gallery / Koyama Art Projects

「木のシンギュラリティ#2」

開催期間:2017年11月23日(木・祝)~12月3日(日)
開催場所:旧平櫛田中邸
東京都台東区上野桜木2−20−3
開館時間:10時~17時
会期中無休
会期中入場料無料
※ギャラリートークが12月2日(土)13時~、12月3日(日)13時~開催予定
http://geidaichoukoku.com/archives/category/sculpture

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