昨冬パリを沸かせた謎の画家、ヴァロットン展が日本へ。

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    『赤い絨毯に横たわる裸婦』 1909年 油彩、カンヴァス ジュネーヴ、プティ・パレ美術館
    © Association des Amis du Petit Palais, Genève / photo Studio Monique Bernaz, Genève

    なんともミステリアスな画家、フェリックス・ヴァロットン(1865~1925年)の日本初の展覧会が、6月14日から三菱一号館美術館で始まります。スイスに生まれ、後にフランスに帰化したこの画家について、ボナールらナビ派と交流し活躍したということのほか、ヨーロッパでもとりたてて語られることはありませんでした。ところが、昨年10月パリでヴァロットンの大回顧展が開かれるや、多数のメディアが特集を掲載、にわかに脚光を浴びます。理由は、フラットな色面と単純な描線の下に、人間の心理や虚構が描き出されていて、現代の私たちをもドキリとさせるから。抑制のきいた描写ながら、男女の不穏な空気がぷんぷんする絵画は、一点一点が短編小説のようだと言ってもいいでしょう。
    日本での展覧会は、世界の美術ファンを圧倒したパリのヴァロットン展の巡回展で、謎の多いヴァロットンを知る絶好の展覧会です。また6月24日にはパリ展カタログに論文を寄稿した三菱一号館美術館の杉山菜穂子学芸員によるレクチャーも開催(展覧会とは別会場)。スイスでの現地調査で見つかったヴァロットンの日本美術コレクションなど、最新研究も披露されるそうで楽しみです。
    パリでは、マルセル・デュシャンとの比較や、エドワード・ホッパーへの影響を指摘する記事がメディアを賑わせたとか。異端の画家ヴァロットン、さあ、あなたはどう見ますか?(Pen編集部)

    『貞節なシュザンヌ』 1922年 油彩、カンヴァス ローザンヌ州立美術館
    Photo: J.-C. Ducret, Musée cantonal des Beaux-Arts, Lausanne

    『ボール』 1899年 油彩、板に貼り付けた厚紙 パリ、オルセー美術館
    © Rmn-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowsky

    『夕食、ランプの光』 1899年 油彩、板に貼り付けた厚紙 パリ、オルセー美術館
    Paris, musée d'Orsay

    『ヴァロットン ― 冷たい炎の画家』
    6月14日(土)~9月23日(火、祝)

    三菱一号館美術館
    東京都千代田区丸の内2-6-2
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    開館時間:10時~18時(金曜<祝日は除く>は20時まで、いずれも入館は閉館30分前まで) 
    休館日:月(祝日は開館。9/22は開館)
    入場料:一般¥1,600
    http://mimt.jp/vallotton


    ●『ヴァロットン』展担当学芸員・杉山菜穂子レクチャーは、
    6月24日(火)14時~15時30分(受付開始13時30分)、
    コンファレンススクエア エムプラス「サクセス」にて。
    料金¥1,000(展覧会の入館料は含まれていません)、先着100名。
    詳細はウェブをご覧ください。
    http://mimt.jp/event/

    ライター青野 尚子さんのブログ『冷たい炎の画家、ヴァロットン』はこちら→www.pen-online.jp/blog/n-aono/1403579885/