グラフィカルに世界を切り取る気鋭の写真家・瀧本幹也、ふたつの個展が同時開催されます。

  • 文:阿部博子

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『FLAME』2016年 © Mikiya Takimoto 『FLAME/SURFACE』展からの作品。

広告写真や映像、映画の撮影監督として多彩なクリエイティビティを発揮して活躍する瀧本幹也。卓越した感性によって切り取られた写真は、絶妙な色彩感覚と相まって、まるでグラフィックのようなイメージを与え、見る人の心を捉えます。この秋、作家としても精力的に撮影活動を行う瀧本のふたつの新作個展が東京で同時開催されています。

10月12日(木)から11月27日(月)までキヤノン ギャラリーSにて開催される『FLAME/SURFACE』は、前作『LAND SPACE』『GRAIN OF LIGHT』に続く新作。火山ガスが地表面で発光する現象“FLAME”と、地球上に存在する水である波を写した”SURFACE ”から成る約30点の作品群です。地球上の自然現象のはずなのに、瀧本の視点によって撮影されたこれらの写真は、宇宙のどこかの惑星の風景を眺めているような不思議な感覚にとらわれます。

一方、MA2 Galleryにて10月14日(土)から11月4日(土)まで開催される『Le Corbusier / Photographs by Mikiya Takimoto 』は、瀧本が敬愛する建築家、ル・コルビュジエをテーマに撮りためた約30点の新作写真展。サヴォア邸やロンシャンの礼拝堂を数回にわたって訪れ、かつてこの建築にコルビュジエがいたこと、彼が見たであろう風景を追体験するようにシャッターを切っています。コルビュジエの建築の配色に習い、モノクロームのネガに印画紙へ投影する技法を駆使した作品も展示されます。

『FLAME/SURFACE』では、最新のキヤノン 製デジタルカメラを用いて地球の営みを記録し、『Le Corbusier/ Photographs by Mikiya Takimoto 』ではアナログな手法によってひとりの人物に迫るという対比的な写真展が同時に行われることは、瀧本の多才さ、そして写真への飽くなき探究心を表していると言えるでしょう。テーマが異なるふたつの写真展ですが、事象に対して深く対峙することで生まれた作品は、時間も場所も超越した眺めを見る者に追体験させてくれます。

『Le Corbusier #01』courtesy of the artist and MA2Gallery 『Le Corbusier / Photographs by MikiyaTakimoto』展からの作品。

『Le Corbusier #09』courtesy of the artist and MA2Gallery 『Le Corbusier / Photographs by MikiyaTakimoto』展からの作品。

『FLAME/SURFACE』

開催期間:2017年10月12日(木)〜11月27日(月)
開催場所:キヤノン ギャラリーS
東京都港区港南2-16-6キヤノン Sタワー1F
TEL:03-6719-9021
開催時間:10時〜17時30分
休廊日:日、祝
会期中入場料無料
http://cweb.canon.jp/gallery


『Le Corbusier/ Photographs by Mikiya Takimoto 』

開催期間:2017年10月14日(土)〜11月4日(土)
開催場所:MA2 Gallery
東京都渋谷区恵比寿3-3-8
TEL:03-3444-1133
開催時間:12時〜19時
休廊日:日、月、祝
会期中入場料無料
http://www.ma2gallery.com/