日本の名だたる刀剣がしのぎを削る、京都国立博物館初の日本刀の大規模展覧会がアツい!

  • 文:脇本暁子

Share:

『太刀 銘 三条(名物三日月宗近)』国宝 東京国立博物館蔵 

京都国立博物館の120年の歴史で初となる、大規模な日本刀の特別展『京のかたな 匠のわざと雅のこころ』が2018年11月25日まで開催中です。なんと国宝19件、重要文化財71件を含む全183振と、歴史上の名だたる刀剣が一堂に会します。

古墳時代から刀は制作されていましたが、片刃の刀剣である日本刀の歴史は平安後期から端を発するといわれています。千年の歴史の中で、名物といわれた日本刀は戦国大名の戦利品や贈答の対象であり、武士道精神の象徴的な存在でもありました。そして現在、累計500万ダウンロードを誇る、日本刀を擬人化させた刀剣男士が戦う刀剣育成シュミレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」をきっかけに、空前の刀剣ブームが起きています。本展も「刀剣乱舞-ONLINE-」とコラボレーション。「刀剣乱舞」のキャラクターのモチーフになった刀剣23振が、集結しています。

会場内は照明も計算されており、ほの暗い展示空間に浮かび上がる刀身の造形は、圧倒的な美しさです。四方から鑑賞できるケースもあり、刀の先端部分である”鋒(きっさき)”から波紋の文様まで、360度じっくりと鑑賞することもできます。

美術品としても十分見応えがありますが、名刀がもつストーリーを知れば、より深く楽しめます。たとえば、「刀剣乱舞」にも登場する、名物三日月宗近として名高い国宝『太刀 銘 三条』は、平安時代後期の名工・三条小鍛冶宗近の最高傑作です。豊臣秀吉の正妻ねねが所有していましたが、徳川幕府の二代将軍・秀忠に贈られたという逸話があります。また『太刀 菊御作』には、3種の神器である宝剣の草薙剣(くさなぎのつるぎ)が失われたまま、4歳で即位した後鳥羽天皇がその後、無類の刀剣愛好家となり、自ら作刀にかかわって菊花紋を刻んだという伝承が残っています。

他にも、織田信長が桶狭間の戦いで今川義元から奪い、その後、秀吉、家康と受け継がれたという天下人に愛された名物『義元左文字』や、坂本龍馬が京都の近江屋にて暗殺された時に手にしていた愛刀の『陸奥守吉行』なども展示。刀以外にも、『阿国歌舞伎図屏風』や伊藤若沖筆の『伏見人形図』など絵画の名品も出展され、刀を取り巻く近世の京の文化も楽しめます。別館の明治古都館では、「刀剣乱舞-ONLINE-」コラボレーション企画として「刀剣男士」の等身大パネルや描き下ろしイラストなどを展示。限定コラボグッズなども購入できます。

鉄と火と人が生み出した芸術であり、日本人の精神の象徴でもあった日本刀。緊張感をはらんだ絶対的な機能美を間近で対峙できる貴重な特別展です。

『阿国歌舞伎図屏風』重要文化財 京都国立博物館

『後鳥羽天皇』国宝 大阪・水無瀬神宮蔵

『太刀 銘 則国』国宝  京都国立博物館蔵

『特別展 京のかたな―匠のわざと雅のこころ』

開催期間:2018年9月29日(土)〜11月25日(日)
開催場所:京都国立博物館
京都府京都市東山区茶屋町527
TEL:075-525-2473(テレホンサービス)
開館時間:9時30分〜18時(月~木) 9時30分~20時(金、土)※入館は閉館30分前まで
休館日:月 
入場料:一般¥1,500(税込)
www.kyohaku.go.jp