「見えること」と「見えないこと」を考える、「ソフィ・カル―最後のとき/最初の時」 開催中です。

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    ≪海を見る―微笑む女≫(部分)2011年、ヴィデオインスタレーション
    ©Sophie Calle/ADAGP,Paris,2015

    ソフィ・カルはロンドンのテートギャラリーやパリのポンピドゥーセンターをはじめ、各国の主要美術館で個展を開催し、現代美術の国際展覧会、第52回ヴェネツィアビエンナーレ(2007年)へもフランス代表として参加した、いまもっとも注目されている作家のひとりです。

    彼女の作品はテキストと写真から構成され、自身や他者のきわめて個人的で親密な感情を表現します。アーティストとしての初めての作品「眠る人々」は、自分のベットに友人知人を招待して眠っているところを撮影するというもの。記録癖がつよい彼女の志向がよく表れ、その斬新なアプローチは話題を呼びました。彼女の作品から提示されるのは、アイデンティティ、コミュニケーション、記憶、知覚といった誰もが日常のなかで向き合う普遍的なテーマ。特定の誰かが感じた感傷や思い出を追体験させ、視覚的にというよりは見た人の経験や記憶に訴えかけます。

    本展示では彼女が長年にわたって探求してきた視覚や認識に関する一連の作品を展示。生まれつき目の見えない人々に、「美のイメージとは何か」と問いかけるカルの代表作「盲目の人々」(1986年)は、気持ちがいいなどの感情や感覚とはちがう、イメージという目でとらえ表すものを、盲目の人たちの答えから再構築するという試みです。人生の途中で視力を失った人々にインタビューした「最後に見たもの」(2010年)、生まれて初めて海を見る人々の表情をとらえた映像作品「海を見る」(2011年)と併せ3部構成で彼女の世界を紹介します。誰かの感情やイメージに共振する、そんな静かで繊細な体験をしに、ぜひ足をのばしてみてください。(Pen編集部)

    ≪盲目の人々―no.1≫1986年、カラー写真、テキスト、額 豊田市美術館蔵
    ©Sophie Calle/ADAGP,Paris,2015

    「ソフィ・カル――最後のとき/最初の時」

    開催期間:10月10日(土)~12月6日(日)
    豊田市美術館
    愛知県豊田市小坂本町8-5-1
    開館時間:9時~16時45分(最終入館は16時まで)
    開館時間:10時~17時30分(入場は17時まで)10日から12日は20時まで開館
    休館日:月曜日
    観覧料:一般 800円(700円) 高校生・大学生500円(400円) 中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体割引料金 豊田市美術館開館20周年を記念して、11月14日(土)15日(日)は、全観覧料無料です。
     TEL 0565-34-6610
     http://www.museum.toyota.aichi.jp