いま見ているものは本当の世界?「SHIMURAbros」展で体験する、「見る」ことの不思議。

  • 文:はろるど

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『トレース―スカイ - フローティングクラウズ 01 (Ed. 2)』 2018年 photo: Courtesy of the artist and Tokyo Gallery+BTAP
ポーラ銀座ビル1階のショーウィンドーに設置されていて歩く人々が映り込みます。まるで異世界を覗くかのようです。

ベルリンを拠点とするアーティスト・ユニット「SHIMURAbros」(シムラブロス)の個展が、銀座のポーラ ミュージアム アネックスで開催中です。SHIMURAbrosは姉のシムラユカと弟のケンタロウのふたりから成るユニットで、2014年からオラファー・エリアソンのスタジオで研究員を務めています。
会場に足を踏み入れると水の音が……。新作のインスタレーション、『Seeing is Believing』(シーイング・イズ・ビリーヴィング)は水と映像で構成。鏡の前の白いステージに細い滝のように水が流れ落ちています。カーテンを抜けた先の映像では、女性がらせんを描いて落ちる水の周りでダンスをしていました。もう一方の壁にはかわいい動物が映し出されていますが、場面は急に変化し、切迫感のある展開へ。強い視線を浴びせられ、「見ているはずが、見られていたのかも?」と不思議な気持ちになります。

SHIMURAbrosは、映画をベースとして制作を行い、映像や彫刻、インスタレーションなどで、「見る」行為の本質を問いかけてきました。「あなたが見ているのは本当の世界の姿なのだろうか。」がひとつのテーマ。水が、鏡の向こうへ落ちているように見えたり、逆に存在しないように映ったりと、視覚を揺さぶられます。

なお、SHIMURAbrosは、箱根町のポーラ美術館でも、2018年12月8日(土)より2019年3月17日(日)まで『Film Without Film 映画なしの映画』展を開催します。3Dプリンターによる彫刻と、鏡やプロジェクターを使った映像を公開。銀座の展示を見ると、こちらも併せて見たくなります。

『シーイング・イズ・ビリーヴィング』2018年  鏡の前で水が噴き出します。「見る」ことに再考を試みるSHIMURAbrosにとって、鏡は重要なモチーフ。

『シーイング・イズ・ビリーヴィング』2018年(40分/16分)
ダンス : アンナ・ウエハラ 音楽 : マウス・オン・ザ・キーズ
白い服を身につけた女性の優雅なダンス。もう一方はカワウソやゴリラ、フラミンゴなどの動物。映像は40分。最後まで引き込まれます。

『ハーフムーン、サンセット』2018年 1面が半円にくり抜かれています。色が付いた影にも注目です。

『SHIMURAbros 「Seeing Is Believing 見ることは信じること」』

開催期間:2018年10月5日(金)〜2018年11月4日(日)
開催場所:POLA MUSEUM ANNEX 
東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:11時~20時  ※入館は閉館30分前まで
会期中無休
入場無料
www.po-holdings.co.jp/m-annex