妖怪ブームを巻き起こした漫画家・水木しげる氏の回顧展「追悼水木しげる ゲゲゲの人生展」が開催!

  • 文:幕田けいた

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水木しげるとその作品たち1 2010年頃 ©水木プロダクション

15年、93歳で鬼籍に入られた漫画家、水木しげるサン。『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』『河童の三平』といった人気妖怪漫画を生み出しただけではなく、古き良き日本の民俗文化を、現代に広めた妖怪研究家としても知られています。

もちろん水木漫画の魅力はそれだけではありません。戦争で片腕を失った悲痛な経験からくる戦争漫画や、激動の時代を独特の哲学でマイペースに生き抜いてきた自伝、エッセイは、日本の近代史を活写する貴重な証言でもあります。

そんな水木サンが遺した、さまざまな文化的遺産を一気に俯瞰できる回顧展が開催されます。

この『追悼水木しげる ゲゲゲの人生展』では、幼少期から晩年まで、6章構成で水木サンの人生を振り返ります。デビュー前の水木サンを紹介する第1章、第2章では、少年期の習作、戦地で描いたスケッチなどの初公開のものも多数。第3章、第4章で紹介される貸本時代からの漫画や妖怪画の貴重な原稿、多忙時代にアイディアを書きためた日記帳など、展示される作品と資料は約350点です。大量の本やスクラップ資料に囲まれた、多くの作品を生み出した書斎の再現や(プロジェクターによる映像演出も見もの!)、世界中で収集した妖怪や精霊像のコレクションや生前の愛用品なども展示されます。

2010年にドラマ化され大ブームを巻き起こした『ゲゲゲの女房』のモデルになった、妻の武良布枝さんのインタビュー映像も上映され、水木サンのプライベートな側面にも迫ります。また会場では、水木サン独特の名言も紹介。「なまけ者になりなさい」「けんかはよせ、腹がへるぞ」なんてのは、今の時代だからこそ余計に噛みしめたくなる、哲学者顔負けの金言でしょう。

誰におもねることなく「幸せとは何か」を追求した水木サン。なんだか全世界的に世知辛い世の中になっていますが、そんな時こそ見直さないといけないのが「ゲゲゲの人生」かもしれません。

スケッチ 自宅付近 1946年

紙芝居「ダイラ」 1953~56年頃 

バナナを食べる水木夫妻 1989年

追悼水木しげる ゲゲゲの人生展

会期:東京会場 2017年3月8日(水)~3月20日(月・祝)  
会場:東京・松屋銀座/8階イベントスクエア
時間:午前10時~午後8時(入場は閉場の30分前まで。最終日は17時閉場)
休業日:会期中無休
入場料:一般1000円/高校生700円/中学生500円/小学生300円

http://mizuki-ten.jp/