フランスで一番有名な猫、「Le Chat」 がシャンゼリゼに登場

  • 文:髙田昌枝(パリ支局長)

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PARISパリ

フランスで一番有名な猫、「Le Chat」 がシャンゼリゼに登場

文:髙田昌枝(パリ支局長)

「ロダンは『考える人』で安易を選んだ。ゲリュックは「話す人」でさらに上を行く」という吹き出し二つを掲げた作品「話す人」。

とがった耳、丸い鼻、背広とネクタイ姿で太鼓腹の猫。ベルギーの漫画家フィリップ・ゲリュックが描くマンガの主人公は、その名も、“Le Chat(猫)”。1980年代半ばにベルギーの新聞から生まれ、一見間抜けなようでいて哲学的なセリフを言うキャラクターが、ベルギーとフランスで絶大な人気を誇っている。

3月26日、高さ2.7mの「猫」の巨大な像20体がシャンゼリゼに並んだ。「1992年にシャンゼリゼで行われたフェルナンド・ボテロ展からアイデアが生まれた。僕の猫もボテロの彫刻のように丸々しているから」というゲリュック。未発表ながら、10年以上前から50〜60cmの彫像を作っていたというゲリュックは、既存の12体に8体の新作を加え、3m弱の巨大モデルを用意。20体の猫は、6月9日までのシャンゼリゼ展を皮切りに複数の都市を巡回し、「猫とユーモアデッサン美術館」がオープン予定のブリュッセルに帰り着く予定だ。

バレリーナよろしく脚を上げたり、ゴルフクラブを振り上げたり、それぞれにユーモアたっぷりの動作とタイトルが添えられ、バンド・デシネから抜け出したような銅像たち。コンコルド広場からロン・ポワン・デ・シャンゼリゼの 800mほどは、ショップもなく、普段はそれほど人通りの多くないエリアなのだが、幅広い年齢層のパリっ子が大勢集まってくる。

3回目のロックダウンで、美術館もシアターも相変わらず閉館中、外出も自宅から10km以内という制限の中で暮らすパリジャンにとって、思わずニヤリとさせられる猫のユーモアとおおらかな姿は、いっときの清涼剤となっているようだ。

見学にはアプリも提案されている。たくさんのパリジャンが訪れ、大人も子どもも、記念撮影に余念がない。

le Chat déambule展

avenue des Champs-Elysées 75008
開催中〜2021年6月9日まで
https://lechat.com/lechatdeambule/exposition