新作19点+6点を公開、彫刻家・名和晃平の個展が表参道・GYRE GALLERYで開催中。

  • 写真・文:Pen編集部

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名和晃平『Trans-Sacred Deer(g/p_cloud_agyo)』 2020年

東京・表参道のGYRE GALLERYで彫刻家、名和晃平の個展『Oracle』が開催中だ。新作19点に加え、GYRE内のアトリウムには2018年に東京と京都で行われたピアニスト、中野公揮のコンサートに登場した彫刻作品『Silhouette』6点が展示されている。

「Oracle」とは神託、神意、助言を与えてくれるものなどを意味する単語だ。ギャラリーの中で神々しく輝く『Trans-Sacred Deer(g/p_cloud_agyo)』は、鎌倉・南北朝時代に制作された「春日神鹿舎利厨子」の神鹿をモチーフにした作品。本物の厨子は40cmに満たず、神鹿は手のひらに乗るほどのサイズだ。名和はこの神鹿を、3D技術と箔押しなどの伝統的な技法によって、大きく華やかに出現させた。

会場入口に展示された『Black Field』。油絵具の油の混合特性を応用し、画面上で収縮と裂開を繰り返す平面作品。開催期間中も緩やかに変化を続けている。

『Blue Seed』。特殊顔料が塗られた板の上にUVレーザーを照射することで、白いキャンバスの上に青いインクで形が描かれていくような場面が展開される。UVレーザーによって浮かび上がった線描は数十秒かけてゆっくりと消滅する。

現在、名和は明治神宮鎮座百年祭で2つの作品を公開中。「表参道は明治神宮へ続く参道。百年祭に繋がる参道でこういった展示ができることは、僕のなかでとても重要なことです。いまの表参道は商業ビルが集まる道だと思われがちだが、元々は明治神宮のための参道なので、今回の二つの展示はそれを思い出すきっかけになってほしい」と語った。

グルーガンを用いて制作された『Catalyst』と、作品について解説をする名和晃平。

『PixCell-Reedbuck(Aurora)』。同じ空間には、今回初めて公開されたシリーズ『Dune』と『Rhythm』が展示されている。

今回の個展では、9つの作品シリーズが共存している。そのなかには「Blue Seed」、「Dune」など新たに公開されたシリーズも登場。一方で、名和が長年制作を続ける「PixCell」も展示。無数の球体を纏った動物の標本が、展示空間に佇んでいる。

開催期間は2021年1月31日まで。明治神宮では『Ho/Oh』を11月3日まで、『White Deer(Meiji Jingu)』を12月13日まで公開中だ。厳かさも漂う名和の新作に心が満たされたら、本来の表参道の姿に想いを馳せ、明治神宮にも足を運んではいかがだろうか。


名和晃平 個展「Oracle」

開催期間:2020年10月23日(金)~2021年1月31日(日)
開催場所:GYRE GALLERY
東京都渋谷区神宮前5 -10 -1 GYRE 3F
開館時間:11時~20時
無休
入場無料
https://gyre-omotesando.com/artandgallery/kohei-nawa-oracle/


明治神宮鎮座百年祭
名和晃平による彫刻の特別展示

『Ho / Oh』

展示期間: 2020年10月23日(金)  – 11月3日(火)
※10月30日– 11月1日は夜間特別参拝が実施されます
展示場所:明治神宮・南神門
〒151-8557東京都渋谷区代々木神園町1-1
協力:株式会社大丸松坂屋百貨店 大丸大阪心斎橋店
www.meijijingu.or.jp/enshrined100/


『White Deer (Meiji Jingu)』

展示期間:  – 2020年12月13日(日)
展示場所:明治神宮・明治神宮ミュージアム入口
〒151-8557東京都渋谷区代々木神園町1-1
https://en.jingu-artfest.jp/tenku-kaikatsu/