旅する写真家・石川直樹の軌跡を追う展覧会が開催! ヒマラヤから北極圏ま...

旅する写真家・石川直樹の軌跡を追う展覧会が開催! ヒマラヤから北極圏まで世界を「知る」喜びを追体験しよう。

文:小川 彩

旅する写真家・石川直樹の軌跡を追う展覧会が開催! ヒマラヤから北極圏まで世界を「知る」喜びを追体験しよう。

『K2』(2015年)。ヒマラヤ山脈高峰の登頂がライフワークとなっている石川にとって、ルートも自然条件もまったく異なるK2への遠征は、強烈な体験となりました。photo : Naoki Ishikawa

写真家・石川直樹による『石川直樹 この星の光の地図を写す』展が、東京・初台の東京オペラシティアートギャラリーで2019年3月24日まで開催中です。タイトルの「この星の光の地図を写す」という言葉には、「光」があってこそ成り立つ写真という媒体を使って、さまざまな地域に旅をした瞬間を記録し続けている石川の活動そのものを表しています。20代初めから旅を通じて撮影してきた作品や文章など、活動の軌跡を紹介するこの展示は、16年の茨城県の水戸芸術館現代美術ギャラリーを皮切りに全国を巡回。6館目の本展が最終地となります。

展示は『DENALI』(1998年)や『POLE TO POLE』(2000年)『POLAR』(2007年)など、極地や雪山の頂を目指した旅の記録である‟白”の部屋からスタート。世界中に残された太古の壁画を追った『NEW DIMENSION』(2007年)は土を思わせる赤、ミクロネシアはじめ太平洋の群島を旅した『CORONA』(2010年)や『THE VOID』(2005年)は青と、展示ごとに石川の旅してきた地域と風土を象徴する色で部屋が彩られています。また、作品のところどころに添えられた石川の言葉からは、世界を知ろうとする内面の動きも感じることができるでしょう。

ぜひ立ち寄りたいのが、「石川直樹の部屋」コーナー。遠征で使用するテントをはじめとしたツールや、旅先で出会った人から贈られた思い出の品、愛読書が並ぶ空間です。文化人類学や民俗学など、幅広い視点から世界を見ようとする石川の思考を包むアイテムの数々に、見入ってしまいます。

展覧会と同時期に発売されることになった、展覧会と同名の図録(リトルモア)のほか、昨年登頂したネパールのアマダブラムで撮影したヒマラヤシリーズ第5弾の写真集『AmaDablam』(SLANT)、そして昨年スタートした47都道府県ごとに日本を紹介するプロジェクト『日本列島』(SUPER LABO × BEAMS)など、最新作を含めて会場内で閲覧できるほぼすべての作品集からも、身体性を伴う石川の視点への理解を深めることができるでしょう。

私たちは実際に移動をしなくても、いともたやすくビジュアルや文字情報として多くのことを手にすることができるようになりました。でもそれはほんとうに「知る」ことになったのか?  本当に私たちはそこを「知った」のか? 見慣れたはずの富士山や、北極圏を捉えた石川の写真の前に立つと、そのような問いが頭の中をよぎります。石川の写真の魅力は、彼の旅を追体験しながら、世界を見る自分自身の視線を「既視」という感覚からアップデートできる点かもしれません。そして、私たちはまだ能動的に「知る」喜びに恵まれていることに気づくのです。

旅する写真家・石川直樹の軌跡を追う展覧会が開催! ヒマラヤから北極圏まで世界を「知る」喜びを追体験しよう。

『POLAR』(2007年)。22歳の時に7大陸を旅した時から通い続けている北極圏。photo : Naoki Ishikawa

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『DENALI』『POLE TO POLE』『POLAR』そして『ANTARCTICA』という、極地やその周辺の地域をテーマとした作品からスタートします。

旅する写真家・石川直樹の軌跡を追う展覧会が開催! ヒマラヤから北極圏まで世界を「知る」喜びを追体験しよう。

会場内には、優れた文筆家でもある石川の言葉をテーマに合わせて抜粋し、展示。作品の世界と対峙する石川の心境を垣間見ることができます。

旅する写真家・石川直樹の軌跡を追う展覧会が開催! ヒマラヤから北極圏まで世界を「知る」喜びを追体験しよう。

世界各地に点在する太古の洞窟壁画を探求した、『NEW DIMENSION』(2007年)シリーズの部屋。

旅する写真家・石川直樹の軌跡を追う展覧会が開催! ヒマラヤから北極圏まで世界を「知る」喜びを追体験しよう。

『K2』(2015年)。展示会場では、K2遠征時の映像作品も紹介されています。photo:Naoki Ishikawa

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石川が遠征で携行したテントはじめ装備や道具、旅先で贈られた思い出の品など、本人の手書きキャプションとともに展示するコーナー「石川直樹の部屋」も必見です。

旅する写真家・石川直樹の軌跡を追う展覧会が開催! ヒマラヤから北極圏まで世界を「知る」喜びを追体験しよう。

オープニングで会場を案内する石川直樹。会期中はアーティストトークや、写真家・森山大道との対談も開催します。

『石川直樹 この星の光の地図を写す』
開催期間:2019年1月12日(土)~2019年3月24日(日)
開催場所:東京オペラシティ アートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2  
TEL:03-5353-0756
開館時間:11時~19時(月~木、日) 11時~20時(金、土) ※最終入場は閉館30分前まで
休館日:月 ※祝日の場合は翌火曜休、2月10日(日) 
入場料:一般¥1,200(税込)
www.operacity.jp/ag

記念対談 森山大道×石川直樹
開催日時:2月9日(土)14時~15時30分
開催場所:東京オペラシティビル7階会議室
定員:160名(全席自由)
参加費無料(要整理券)
※開催当日11時よりアートギャラリー入口にて整理券配布予定。

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