神楽坂の新ギャラリー「√K Contemporary」に、“もの派”の...

神楽坂の新ギャラリー「√K Contemporary」に、“もの派”の原口典之による渾身の最新作が集結。

文:はろるど

1階展示風景。手前が『Out and In』、奥が『Ento(Round Tower)』(ともに2020年)。塔の高さは3.6m以上もあり、吹き抜けを貫いて2階へと顔を出している。白を基調にした近未来的な空間の中でも特に目立つ作品だ。©Masao Katagami

2020年3月、東京・神楽坂に新しくオープンしたアートギャラリー「√K Contemporary(ルートK コンテンポラリー)」。メインの1階と2階、それに地下の多目的スペースを合わせると、約450㎡と思いがけない広さだ。

オープニングを飾るのは、原口典之の個展『wall to wall』。1960年代後半より「もの派」の美術家としてデビューした原口は、77年に国際美術展『ドクメンタ6』(ドイツ、カッセル)に日本人として初めて選出。廃油を鉄の浴槽に流し込んだ『オイルプール』で注目を集め、国内外で活躍の場を広げてきた。今回の個展では、金属や油、ポリウレタンなどの工業素材を使った立体作品やインスタレーション、紙のドローイングを公開。約30点すべて最新作という、力の入った展示を見せる。

これほど作品と空間が響き合いながら、フロアごとで大きく表情が変化する展示も少ない。コンクリートブロックに囲まれた薄暗い地下では、太古の昔から油を溜めていたような『オイルプール』があり、一転して明るい1階の白を基調にした空間では、高さ4m近い塔の『Ento』や、アルミや鉄からできた巨大なオブジェ『Out and In』が鎮座し、宇宙船内を彷彿させる近未来的な光景を生み出している。屋上で複数の角材を起立させた『Tension, and Compression』は、まるで祭祀遺跡のようだ。一つひとつの素材は無機的でありながらも、作品から多様なイメージが頭に思い浮かぶのが不思議だ。

過去の原口の展示で印象に残ったのは、2009年に「BankART Studio NYK」で行われた『原口典之 社会と物質』だった。横浜の古い倉庫跡を余すことなく用い、軍用機をモチーフとした大型のオブジェなどを展開していて、ただただ圧倒されたことを思い出す。以来、国内では約10年ぶりとなる大規模な個展が本展だ。住宅街にひっそりと佇むギャラリーの外観からは想像もつかない、スケール満点の展示を全身で受け止めたい。

『Oil Pool』2020年 地下1階の最奥部に展示されたオイルプール。つんと鼻をつくような油の臭いが充満している。黒光りする表面をのぞき込むと、中に引き込まれそうな錯覚も。まるでブラックホールのようだ。©Masao Katagami

『wall to wall』2020年 仮設のモルタル壁を壊し、白い帆布をピンと張っている。鉄などを用いた重厚感のある作品で知られる原口だが、一方で帆布やアルミといった軽い素材をも巧みに取り込んでいることも見逃せない。©Masao Katagami

『Tension, and Compression』2020年 マンションに囲まれたギャラリーの屋上に突如、出現するインスタレーション。7本の角材がワイヤーロープで支えられている。日差しの向きなど、天候で表情を変化させるのが面白い。©Masao Katagami

『wall to wall Noriyuki Haraguchi』

開催期間:2020年3月7日(土)~5月6日(水・祝)
開催場所:√K Contemporary(ルートK コンテンポラリー)
東京都新宿区南町6
TEL:03-6280-8808
開廊時間:11時~19時
休廊日:日、月
入場無料
https://root-k.jp

※会期や開廊時間、休廊日などが変更になる可能性があります。事前に確認をお薦めします。

神楽坂の新ギャラリー「√K Contemporary」に、“もの派”の...
Feature Fashion アートに触発された今季のポール・スミス。そのアーティーな服が、街に溢れる色を、表現のスパイスにする。
Feature Fashion アートに触発された今季のポール・スミス。そのアーティーな服が、街に溢れる色を、表現のスパイスにする。

次号予告

なぜ世界は、このブランドに憧れるのか?

オニツカタイガー 完全読本。