タブーを利用し唯一無二の写真を生み出す、「本城直季 TOKYO/KYOTO 1/2展」が開催。

  • 文・大隅祐輔

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「東京 港区」(2008)

様々な工業用施設を同じアングルで撮りためていたベッヒャー夫妻や、セットをいちからつくり上げ、コメディ映画にアート性を付加したジャック・タチなど、これまでも実存する風景を虚構のように見せる、あるいはつくるアーティストは数多くいました。

街並みをつくりもののジオラマのようにとらえた写真で知られる本城直季さんが評価されている理由は、タブーをあえて作品の最大の特徴にした点だと考えられます。本城さんがつかっているティルトという、4×5判カメラの蛇腹部分を動かしレンズをあおる手法は通常、高い建物の歪みを直したり、ピントを広い範囲に合わせるための技術。本城さんはそれを逆手に取り、広大な風景を俯瞰し、あえてピントを絞り込むことで、人間の眼で見るのとは違う現象を起こしているといいます。天から地上の一部分を見下ろすその画は、神の視点と例えられることも。

2017年3月1日から代官山駅のそばに位置するステーショナリーショップ、STÁLOGY LABORATORY TOKYO内の1/2GALLERYで開催される「本城直季 TOKYO/KYOTO 1/2展」では、そのタイトルの通り、本城さん自身が厳選した東京と京都を舞台とする作品が飾られます。今回のエキシビションは、高いデザイン性、機能性、コストパフォーマンスすべてを満たした文房具を扱うSTÁLOGY LABORATORY TOKYOにインスパイアされているということで、特別にインスタントカメラの代表的な存在であるポラロイドカメラで撮り下ろした作品も展示。普段の本城さんとは別の側面も見ることができそうです。

昨年発売された写真集『京都/ KYOTO』(淡交社)の表紙に採用された作品「京都 下鴨神社」(2007)。

「本城直季 TOKYO/KYOTO 1/2展」

開催期間:3月1日(水)~3月13日(月)
開催場所:1/2GALLERY(STÁLOGY LABORATORY TOKYO内)
東京都渋谷区恵比寿西1-35-16 代官山アドブルビル1F
開館時間:11時~20時
入場無料、3月7日(火)のみ休館
TEL:03-3464-9011

http://stalogy.com/shop/