希代の数寄者・村山龍平の珠玉の日本美術コレクションを愛でる、 中之島香雪美術館が大阪に誕生しました。

  • 文:脇本暁子

Share:

重要美術品 長谷川等伯『柳橋水車図屏風』 桃山〜江戸時代 16〜17世紀

村山龍平を知っていますか?  朝日新聞社の創業者であり、明治時代、日本の美術品が海外に流出していくことに危機感を覚え、貴重な文化財の蒐集を始めた日本屈指のコレクターでもありました。日本美術を愛した彼は、岡倉天心らが創刊した現存最古の美術雑誌『國華』の発行を援助もしています。

そんな村山が集めた美術品を展示する「中之島香雪美術館」が、2018年3月21日に大阪の中之島フェスティバルタワー・ウエスト4階に開館しました。開館記念展『珠玉の村山コレクション~愛し、守り、伝えた~』では、村山の所蔵した重要文化財を含む約300点を、5期に分けて1年間かけて紹介しています。4月22日まで開催の展示第1期『美術を愛して』では、村山と特にゆかりの深い名品を中心に、約60点を展示。彼が自ら名付けた名碗の美濃「志野茶碗 銘 朝日影」(桃山時代、17世紀)、千利休や古田織部の直筆の書状などが、国内最高水準の超高透過ガラスを採用した展示ケース入りで公開。ガラスの存在を忘れるほどクリアに鑑賞できます。

常設展では、村山が暮らした神戸にある重要文化財、旧村山家住宅にある茶室「玄庵」を忠実に再現した「中之島玄庵」を見ることができます。茅葺き屋根や土壁、柱は同じ材料を使い、露地の飛び石の形までも原寸大に忠実に再現されています。また、館内の村山龍平記念室では、村山家邸宅の自室の再現や朝日新聞社の発祥の地である中之島の歴史をたどるコーナーがあります。

関西屈指のビジネス街の高層ビルにありながら、喧噪を忘れさせ、美術品とたゆたう‟市中の山居”のような中之島香雪美術館。同じ建物内には2017年にオープンしたホテル、コンラッド大阪もあり、利便性も抜群。大阪へ行くならぜひとも訪れたいスポットです。

野々村仁清作「色絵忍草文茶碗」 江戸時代 17世紀(2期に展示)

重要文化財「薬師如来立像」平安時代  9世紀(4期に展示)

中之島香雪美術館 開館記念展『珠玉の村山コレクション~愛し、守り、伝えた~』
開催場所:中之島香雪美術館
大阪府大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト 4F
TEL:06-6210-3766
開催期間:2018年3月21日(水・祝)〜4月22日(日)
開館時間:10時~17時 ※入館は16時30分まで
休館日:月 ※祝日の場合は翌火曜休、展示替えなどによる臨時休館あり
入館料:一般 ¥900(税込)
www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima