大人気のブルーノ・ムナーリ展がいよいよ最終の巡回地へ。世田谷美術館の展...

大人気のブルーノ・ムナーリ展がいよいよ最終の巡回地へ。世田谷美術館の展覧会をお見逃しなく。

文・はろるど

ブルーノ・ムナーリ『わかったよ。みんな、買うよ ジャンニ・ロダーリ《クリスマスツリーの惑星》のための挿絵の習作』制作年不詳(1962年)パルマ大学 CSAC © Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari 児童文学作家のジャンニ・ロダーリとのコラボレーション。ムナーリはロダーリのテキストを直接的に説明せず、暗示したり、語り口を視覚化したような挿画を描きました。

日本でも、絵本などを通して広く知られているイタリアの美術家ブルーノ・ムナーリ(1907~98年)。絵画や彫刻の他、造形教育など幅広い分野で業績を残したムナーリの本格的な回顧展が世田谷美術館で始まりました。

ムナーリは傑出したアイデアマンです。『役に立たない機械』はモビールの先駆け。『おしゃべりフォーク』はフォークの歯を折って、人の手のジェスチャーに見立てたもの。絵本は、ページに穴を開けるなどしてページそのものを表現の媒体に。さらに『旅行のための彫刻』という、小さな紙を折り畳んだ彫刻も考案。旅先へもち運べる彫刻という、なんとも楽しいアートです。「開かれた、動きのある、軽みを持った芸術」とは、ムナーリを評した瀧口修造の言葉。コミュニケーションに関心を寄せたムナーリは、誰もが最小限の操作で美術を制作できるように考えました。

展示は約300点で構成。半数は日本初公開です。ダネーゼ社から発売されたデスクセットやカンパリの広告も出品され、デザインの仕事も明らかになります。ユーモラスで知的なムナーリの作品は、どれも創造性にあふれています。自由な発想の中には、いまを豊かに楽しく生きる新たなヒントがあるかも? 展覧会図録は論考が充実し、約380ページと読み応えあり。今春、神奈川県立近代美術館で幕を開けたムナーリ展の、最終の巡回展です。お見逃しなく!

ブルーノ・ムナーリ『役に立たない機械』1934年/1983年、市民の芸術活動推進委員会蔵 © Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari ムナーリは色彩や線が空中で動き、新たな関係をつくり出すことを狙いました。わずかな風でクルクルと回転します。

ブルーノ・ムナーリ『読めない本の試作』1955年、パルマ大学 CSAC蔵  © Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari 切れ込みの入った色紙を綴じた本。ページをめくると色の面の組み合わせが変化します。ムナーリは色や線はすべて等価であり、動きを伴うと考えていました。

ブルーノ・ムナーリ『無題』1930年、カーサペルラルテ =パオロ・ミノーリ財団蔵 © Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari ムナーリの最初期の風景画。1925年、ムナーリは詩人のマリネッティと出会い、前衛芸術運動の「未来派」の一員として活動を始めました。

『ブルーノ・ムナーリ―役に立たない機械をつくった男』

開催期間:2018年11月17日(土)~2019年1月27日(日)
開催場所:世田谷美術館
東京都世田谷区砧公園1-2
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~18時 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月(12/24、2019/1/14は開館)、12/25、2018/12/29~2019/1/3、1/15
入場料:一般¥1,000(税込)
www.setagayaartmuseum.or.jp

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