モネと現代アートが共演! ロスコやウォーホルも並ぶ話題の展覧会が面白い理由。

  • 文:及位友美

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画業の集大成となる大装飾画『睡蓮』の制作に着手してから約100年。モネを紹介するこれまでの展覧会とは一線を画す『モネ それからの100年』は、名古屋市美術館と横浜美術館の巡回展です。

印象派を代表する画家のクロード・モネ。対象そのものではなく、ゆらめく光やそこにある空気を捉えようとしたモネの作品は、いまなお世界中で愛され続けています。特に日本では、3年に一度は大規模な回顧展が各地で開かれてきたほどの人気ぶりです。そんなモネと現代アートの結びつきを探る展覧会『モネ それからの100年』が、2018年9月24日まで横浜美術館で開催されています。

本展の見どころは、近代絵画の巨匠・モネと、現代アートのつながりを軸にした大胆なテーマ構成です。モネの作品とともに、マーク・ロスコ、アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタイン、中西夏之、岡﨑乾二郎、福田美蘭など国内外の現代美術作品が並びます。モネの初期から晩年までの絵画は25点。さらに後世代の26作家による作品群を、モネのキャリアの変遷に沿った4つのテーマごとに楽しむことができます。

現代アートに対して「難解そう」というイメージをもつ人にも、新たな見方を提示する本展。モネの作品を見るのと同じ視点で現代アートを見てみれば、色彩のハーモニーや反復の連続性、純粋な視覚の喜びなどを再発見できるのではないでしょうか。

「モダンアートの先駆者」と称されるモネの芸術。なぜ、私たちはいまも昔もモネの絵画に魅せられるのか……。現代アートとの連続性から、その理由を探ってみませんか?

クロード・モネ『睡蓮』1914-17年 油彩、カンヴァス、群馬県立近代美術館(群馬県企業局寄託作品)

鈴木理策が2014年から継続して発表する『水鏡』の連作。睡蓮の浮かぶ池と雲の反射する光景が、モネの『睡蓮』を想起させます。左:鈴木理策『水鏡14、WM-77』2014年 発色現像方式印画 作家蔵 右:鈴木理策『水鏡14、WM-79』2014年 発色現像方式印画 作家蔵

シルクスクリーンで抽象的なパターンを50版も摺り重ね、制作された作品。インクの重なり方の違いから、視点によって見え方が変わる驚きがあります。小野耕石『波絵』2017年 油性インク、アルミに貼った紙 作家蔵

左は、本企画のため制作された作品です。右は、先行して巡回した名古屋市美術館後に完成し、横浜美術館での展示から連作となりました。自然の光を描いたモネに対し、現代の人工的な光に焦点を当てた作品です。左:福田美蘭『睡蓮の池』2018年3月完成 アクリル、パネルに貼った綿布、作家蔵 右:福田美蘭『睡蓮の池 朝』2018年6月完成 アクリル、パネルに貼った綿布 作家蔵

『モネ それからの100年』

開催期間:2018年7月14日(土)〜9月24日(月・休)
開催場所:横浜美術館 
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時〜18時 ※9月14日(金)、15日(土)は20時30分まで    ※入館は閉館の30分前まで
休館日:木 ※8月16日は開館
入場料:一般¥1,600(税込)
https://monet2018yokohama.jp/