キャパ、ブレッソンらの名作が圧巻! 『マグナム創設の原点』展に見る写真の力。

  • 文:坂本 裕子

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ロバート・キャパ 『難民の少女』 スペイン、バルセロナ 1939年 ©Robert Capa / ICP / Magnum Photos

1947年、ロバート・キャパの発案で、アンリ・カルティエ=ブレッソンやデビッド・シーモア、ジョージ・ロジャーらにより結成された「マグナム・フォト」。会員の出資で運営されるこの集団は、第二次世界大戦下で報道写真家として活躍していた彼らが、自分たち自身で写真家としての自由と権利を守り、世界を独自の視点で見直すことを目的に創設されました。

フォト・ジャーナリズムの礎を築いたキャパや、瞬間を切り取るスナップ写真で芸術性を高めたカルティエ=ブレッソン……。マグナム・フォトの誕生は、写真家のアイデンティティを確立しただけではなく、「記録」と「芸術」という写真がもつふたつの側面を融合、昇華させました。そうすることで、ドキュメンタリー写真の地位をゆるぎないものにしたのです。さまざまな写真家が、各自のスタンスで、写真の力を通じてヒューマニズムを訴えるマグナム・フォトの精神は、現代にも受け継がれ、世界を挑発し続けています。

この写真家集団、マグナム・フォトの創設期を振り返る展覧会『マグナム創設の原点』が、フジフイルム スクエアの開館10周年企画のひとつとして開催されています。創設期を支えた10名の写真家の名作70点を、すべて銀塩オリジナルプリントで見られる貴重な機会です。創設者4名の代表作や、大戦中の報道写真家としての彼らの眼差しには、強い意志が感じられます。彼らの活動に賛同した会員が、ジャーナリズムだけでなくコマーシャルやファッション、アートの分野まで活躍の場を広げていく、その源流を見出せるでしょう。

マグナム・フォトは今年、創立70周年。個性を発揮しながら集団として写真でメッセージを発信し続ける、そのスピリットが凝縮された展示空間は、21世紀を生きる我々が世界を見つめ、考え直すきっかけになるはずです。

アンリ・カルティエ=ブレッソン 『サンラザール駅裏 』 フランス、パリ 1932年  ©Henri Cartier-Bresson / Magnum Photos

ジョージ・ロジャー 『ロンドン大空襲 』 イギリス、ロンドン 1940年 ©George Rodger / Magnum Photos

デビッド・シーモア 『石油精製所の見張り番少女』 イスラエル、ハイファ 1951年  ©David Seymour / Magnum Photos

イヴ・アーノルド『生後5分の子と母 』 アメリカ、ニューヨーク 1959年  ©Eve Arnold / Magnum Photos

フジフイルム スクエア 開館10 周年記念写真展
『~世界中に影響を与えた写真家集団~マグナム創設の原点』

開催期間:2017年10月6日(金)~25日(水)
開催場所:フジフイルム スクエア
東京都港区赤坂9-7-3 
TEL:03-6271-3350(10時~18時)
開催時間:10時〜19時 
会期中無休
会期中⼊場料無料
※富士フィルムスクエア コンシェルジュによる「初めてでもよくわかるマグナム・フォト」会期中毎日開催(14時~、17時~)。毎回約30分、無料、事前申込不要。
http://fujifilmsquare.jp