表参道の「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で、ヘスス・ラファエル・ソトが手がける青いインスタレーションを体感せよ。

  • 文:中島良平

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『Pénétrable BBL Bleu』1999年, ed. Tokyo 2018 PVC(ポリ塩化ビニル)、金属 ©︎Adagp, Paris 2018. Photo: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

現代アートの発信地たるパリの「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」。ここが所蔵するコレクションの展示を目的とするのが、「Hors-les-murs(壁を越えて)」というプログラムです。その第6弾として、ベネズエラ人アーティストのヘスス・ラファエル・ソトによるインスタレーション作品『Pénétrable BBL Bleu』が、東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京にやってきました。2019年5月12日まで公開されています。

ベネズエラのシウダ・ボリバルで生まれたソト。幼い頃からアートや文学に親しみ、16歳で映画ポスターのデザインを手がけるなど、早くから創作活動を開始します。首都のカラカスで造形美術学校を卒業し、3年間、マラカイボという町の美術学校で、校長を務めたのち、1950年にパリに移住しました。

ジョルジュ・ブラックの絵を見てキュビスムを知り、セザンヌやピカソ、モンドリアンなど、ヨーロッパの多彩な絵画表現に興味を惹かれたソトは、アートの最前線であるパリを目指さずにはいられませんでした。ヨーロッパでベネズエラとは異なる自然光を感じ、印象派が生まれた背景を感じ取ったソトは、モネの『睡蓮』に強く惹かれました。「絵の中に入りたい。強くそう感じた」と述べています。

絵画から始め、立体や空間作品を手がけるようになったソトは、中に入り、体感できる作品として「浸透可能なるもの」を意味する『Pénétrable』シリーズを1967年より開始。作品の内と外で体験が変わり、色と音に包まれ、動くごとに視界が変容するこのシリーズの「青」バージョンを今回、エスパス ルイ・ヴィトン東京で楽しむことができます。全身を使って作品とのエネルギー交換を実現しようと考えたヘスス・ラファエル・ソトの作品は、文字通り、体感することでその魅力を堪能することができます。

『Pénétrable』(浸透可能なるもの)の中にいるヘスス・ラファエル・ソト。 1970年 ザグレブ現代美術館、クロアチア(1970年6月〜8月)©︎Adagp, Paris 2018 ©︎Archives Soto

離れて鑑賞すると、空間に描画したような絵画感覚が強く感じられます。©︎Adagp, Paris 2018. Photo: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

そして中に人が入ると風景が一変。動きによるそうした変化も作品を特徴づけています。©︎Adagp, Paris 2018. Photo: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

エスパス ルイ・ヴィトン東京遠景。『Pénétrable BBL Bleu』の青い量塊が見て取れます。©︎Adagp, Paris 2018. Photo: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

ヘスス・ラファエル・ソト『Pénétrable BBL Bleu』
開催期間:2018年12月7日(金)〜2019年5月12日(日)
開催場所:エスパス ルイ・ヴィトン東京
東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道店7F
TEL:0120-00-1854(ルイ・ヴィトン クライアントサービス)
開廊時間:12時〜20時
休廊日:ルイ・ヴィトン表参道店に準じる
入場無料
www.espacelouisvuittontokyo.com