ロロ・ピアーナ銀座店に幻想的なデジタルアート空間が出現。

  • 文:Pen編集部

Share:

ウィアードコア『Nature』(2020年)。水面に浮かぶ木の葉と、時間が経つごとに色が変化する蓮の花の映像が、まるで池の一部を切り取ったかのように映し出されている。

10月16日からロロ・ピアーナ銀座店4階で、デジタルアートのインスタレーション『An Odyssey of Touch』が行われる。空間を構成するのはロロ・ピア―ナと、近年のアートシーンで注目を集めるウィアードコアのコラボレーションによって生まれた3つの作品。ふだんはVIPルームとして使われているフロアが、誰でも訪れることができる幻想的なアート空間に変身する。

ウィアードコア『Infinite Connection』(2020年)。存在感のある球体はカシミヤの原毛。四隅から伸びるロープがカシミヤを結びつけている。ケースの壁面にはマジックミラーを使用。内部を覗くと空間が無限に広がっているかのようだ。

ウィアードコアは、デジタルテクノロジーを駆使した映像表現で、視覚と聴覚を刺激する作品を数多く生み出してきたビジュアルアーティストだ。著名なアーティストのMVへの作品提供や、世界中の美術館やギャラリーでの展示活動などを行い、今年新国立劇場で予定されていた子供たちとアンドロイドによる新作オペラ『スーパーエンジェル』(2020年)では映像を手がけている。同公演は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、来年夏の上演が検討されている。

3つの作品では、それぞれファブリックのもととなる原材料に、音や映像、光を組み合わせて独特の空間をつくり上げている。例えば、会場の入り口を飾る『Nature』は蓮の花を題材にした作品だ。ミャンマーのインレー湖の水域に育つ蓮の花からわずかな量だけ紡げる糸は、同ブランドが誇る最高級素材のひとつとして数えられ、ブランドのなかでも限られたアイテムのみに使われている。


【関連記事】 リュック・ジャケ監督が映像化。極上のカシミヤを追求するロロ・ピア―ナのドキュメンタリー

ウィアードコア『Cloud City』(2020年)。会場奥にある壁面を窓に見立てた作品。東京の街にカシミヤでつくられた雲が浮かんでいる。スピード感のある雲の動きに合わせて、空の色も変化する。

雲が晴れると、東京タワーとスカイツリーが同時に現れる瞬間も。

会場全体を包み込む音楽は、音楽家の坂本龍一が2017年にリリースしたアルバム『Async』に収録されている『Disintegration』。ウィアードコアが選んだこの曲に、ミュージック・ディレクターを務めるジョン・ゴスリングが、自然界から採取された音を重ね、それぞれの空間をより完璧な状態に仕上げている。

会場を訪れたら壁やベンチにも注目してほしい。カシミヤが張地に使用されており、作品を鑑賞しながら、ファブリックの手触りを実際に確かめることができる。

開催期間は10月16日から25日までの10日間。服の素材とデジタルアートというとり合わせは一見相容れないようであるが、極上の素材を追求し続ける同ブランドの冒険の一端を、作品や会場の隅々から体感できるだろう。

ロロ・ピアーナ銀座店のエントランス。空中に浮かぶ雲のオブジェが目印だ。

デジタル・アート・インスタレーション『An Odyssey of Touch』by Weirdcore

開催期間:2020年10月16日(金)~25日(日)
開催場所:ロロ・ピアーナ 銀座店 4階
東京都中央区銀座3-5-8
TEL:03-5579-5181
開館時間:11時~20時
入場無料
https://jp.loropiana.com/ja/Ginza-an-odyssey-of-touch