ル・コルビュジエが日本建築に与えた影響と、三人の日本人建築家の弟子。建築資料からその系譜を辿る。

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    「ル・コルビュジエ×日本 国立西洋美術館を建てた3人の弟子を中心に」展が、国立近現代建築資料館で11月8日(日)まで開催されています。
    西洋建築の模倣から始まり、独自の発展を遂げた日本の近現代建築に大きな影響を与えたフランスの建築家、ル・コルビュジエ(1887年〜1965年)。本展は、ル・コルビュジエのパリのアトリエで学んだ3人の弟子たち、前川國男、坂倉準三、吉阪隆正の活動を中心に、日本におけるル・コルビュジエ唯一の実作「国立西洋美術館」の建設経緯と建築の魅力を通して、ル・コルビュジエの作品と思想が、当時の日本の建築界においてどのように発見、受容され、展開していったかを探る企画展です。

    展示内容は、主に3つのテーマに分けられています。まず第1部は「ル・コルビュジエの発見・受容・展開」と題し、1920年代頃からコルビュジエが日本で紹介され始めた経緯を紹介。また、ル・コルビュジエの「300万人のためのための現代都市」計画案に感銘を受けた、建築家の中村順平が提唱した「大都市東京復興計画」や、それらに影響を受けたであろう建築家たちの都市部の計画書、講義ノートなどが展示されます。

    第2部は、日本でのル・コルビュジエの実作である「国立西洋美術館」について。ル・コルビュジエが思い描いていた「無限成長美術館」の思想や、その系譜をたどりながら、前川國男、坂倉準三、吉阪隆正が設計した公共施設、美術館のパースなどを紹介し、最後に巨大な「国立西洋美術館」の木製模型(部分)が迎えます。

    第3部のテーマは「現代日本建築にみるル・コルビュジエ」。丹下健三、槇文彦、磯崎新、伊東豊雄、安藤忠雄といった、近現代の日本建築界を代表する建築家達の作品を通して、現代の建築家たちが、20世紀の巨匠の作品、思想をどのように解釈し、いかにして表出しているかを探る内容です。

    建築資料の収集・保存を行う国立近現代建築資料館ならではの貴重な資料とともに、ル・コルビュジエから当時の建築家達が受けた感銘と、そこから生まれ、現在まで続くエネルギーの源を知ることができる展覧会です。(高柳 圭)

    ニューヨーク世界博覧会日本館 前川國男のスケッチ。所蔵/前川建築設計事務所

    国立西洋美術館 躯体工事時の写真。所蔵/国立近現代建築資料館

    国立西洋美術館 竪管露出シャフト詳細図。所蔵/前川建築設計事務所

    「ル・コルビュジエ×日本 国立西洋美術館を建てた3人の弟子を中心に」

    会期:〜11月8日(日)

    会場:国立近現代建築資料館(東京都文京区湯島4-6-15)
    TEL:03-3812-3401
    入場料:「展覧会のみ観覧(平日のみ)」入館無料(WEBから事前申込)、「都立旧岩崎邸庭園と同時観覧」庭園入園料400円(事前申込不要)
    http://nama.bunka.go.jp/