高麗屋三代襲名を記念して開催!『役者絵展』で脈々と受け継がれる伝統と血脈を感じよう。

  • 文:Pen編集部

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豊国Ⅲ(国貞)『見立三十六歌撰之内 素性法師 石川五右衛門』。実悪を得意とした五代目松本幸四郎を描いた作品。舞台で見得をきると、あまりの怖さに子どもが泣き出したとの言い伝えも。

今年1月2日、賑々しく歌舞伎座初芝居の幕が開きました。父、子、孫が揃っての「高麗屋三代襲名」は実に37年ぶり。それぞれが父の名跡を継ぎ、新たに二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎を襲名しました。「寺子屋」や「勧進帳」といった松本幸四郎家所縁の芝居を熱演、口上には幹部俳優も勢揃いと、華やかな舞台が繰り広げられています。

そんな松本幸四郎家の慶事を記念して、銀座の画廊・秋華洞が「高麗屋三代襲名記念『役者絵展』」を1月12日(金)~1月26日(金)まで開催します。江戸期の芝居においては、公演ポスターやブロマイドの役割を果たしていた役者絵。本展では高麗屋代々の役者絵の展示を中心に、37年前の三代同時襲名と今回の襲名の比較、新染五郎丈が松本金太郎を名乗っていた頃に描いた絵など、高麗屋所縁の作品が並びます。

展示を見て驚くのが、絵画の中の五代目幸四郎の特徴的な「鼻」。「鼻高幸四郎」と呼ばれ多くの浮世絵で横向きに描かれたという彼の顔立ちは、円熟をみせる白鸚丈から、押しも押されぬ立役者へと突き進む幸四郎丈、凛々しい貴公子然とした染五郎丈にまで脈々と受け継がれているように感じられます。今回の襲名にあたり、白鸚丈が「父(=初世白鸚)から、『襲名のメイは名ではない、命を継ぐものだ』と教わりました」とコメントしていたのも印象的でした。銀座に芝居見物に訪れたら、ぜひ本展ものぞいてみることをお薦めします。

弦屋光溪『「暫」より九世松本幸四郎の鎌倉権五郎 』。今回の襲名で、二代目松本白鸚となった九代目松本幸四郎を描いた作品。歌舞伎座で1991年5月に上演された『暫』を取材したもの。

「金太郎最後の年にぜひ描きたい」と、新染五郎丈が雑誌の付録のカレンダー用に描き下ろした、「鯉金」と親しまれる国芳「坂田怪童丸」の模写。怪童丸は坂田金時の愛称、つまり金太郎のこと。八代目市川染五郎『坂田怪童丸』(『婦人画報』2017年3月号 別冊付録より)

高麗屋三代襲名記念『役者絵展』
開催期間:2018年1月12日(金)~1月26日(金)
開催会場:秋華洞内「ぎゃらりい秋華洞」
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F
TEL:03-3569-3620
開場時間:10時~18時
入場無料
会期中無休
www.syukado/yakusha-2018