現代版こいのぼり約300匹が泳ぐ! 4組のアーティストがコラボしたインスタレーションを見て、肩の力を抜いてみませんか。

  • 撮影・文:及位友美

Share:

その数なんと319匹! 同じテキスタイルデザインでも色違いや素材違いの布を使用したこいのぼりもいて、「まるでファミリーのよう」と須藤さんは話します。

ゴールデンウィークにもお薦めのスペシャルな企画展『こいのぼりなう!』が、六本木の国立新美術館で開催中です。日本の伝統的な「こいのぼり」を現代のテキスタイルデザインとフォルムで表現した大規模なインスタレーションが、2018年5月28日まで入場無料で楽しめます。

参加作家は、日本を代表するテキスタイルデザイナーの須藤玲子(NUNO)と、フランスの展示デザイナーのアドリアン・ガルデール、ライゾマティクス率いる齋藤精一、そして京都のアート/デザインユニットSoftpad。NUNOの布を使い、ガルデールがデザインした抽象的なフォルムの「こいのぼり」が、高さ8m、2000㎡の巨大空間いっぱいに泳ぎます。さらに天井には、齋藤が手がける、そよぐ布のインスタレーションが……。Softpadによる刻々と変化するサウンドインスタレーションも、心地よい空間を演出します。

NUNOのテキスタイルは、糸の素材にこだわり、染色から織りまでの工程において各地の職人の手を渡ってきたもの。「このテキスタイルは、北は山形から南は奄美大島まで、全国約80カ所の産地にいる優れた職人と一緒につくり上げています。今回は、319種類のテキスタイルを飛ばしました」と須藤。展示デザイナーのガルデールは、自身の仕事はキュレーターやテキスタイルデザイナーの思考を視覚的に伝えることだと話します。「“端午の節句”のような伝統や技術は、いまの時代とも関連性や意味をもっています。展示を見て、過去と現在のつながりを感じてもらえたら」。また、インタラクティブな作品制作に携わってきた齋藤は、アーティスト同士のコラボレーションについてこう語ります。「今回やりたかったことは、みんなでひとつのなんとも言えない“雰囲気”をつくることでした。いまの時代はスピードが速すぎる気がしています。この展示を見て、スローダウンしてもらえたら」

六本木の真ん中で、水の中を漂うようなゆるやかな時間を感じられる本展。世界で活躍する4組のアーティストの貴重な競演を、お見逃しなく。

齋藤も「一つひとつのテキスタイルがどういう思想でつくられているか、ぜひ近くで見てほしい」と語るテキスタイルデザイン。間近で見ると、素材の面白さとデザインの繊細さとに驚かされます。

展示室の奥にはNUNOのテキスタイルの展示も。布をめくると、その裏にはテキスタイルデザインができるまでのストーリーが書かれた説明が出現。

左から、齋藤精一(ライゾマティクス)、須藤玲子(NUNO)、アドリアン・ガルデール。

『こいのぼりなう!  須藤玲子×アドリアン・ガルデール×齋藤精一によるインスタレーション』

開催期間:2018年4月11日(水)~5月28日(月)
開催場所:国立新美術館 企画展示室2E
東京都港区六本木7‐22-2
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~18時(月~木) 10時~20時(金、土) ※4月28日(土)~5月6日(日)は10時~20時、5月26日(土)は10時~22時開館。 入場は閉館の30分前まで。
休館日:火  ※ただし5月1日(火)は開館
会期中入場無料
www.nact.jp/exhibition_special/2018/koinoborinow2018